西のヘタレ、振り向いてほしいので頑張ります。【文スト】【完結】

恋して　30日 ページ31

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言ってすぐに気がついた。
僕は、何を言っているんだ、と。

迷惑だ。こんなの言われたって困る。



「あっ、すみません！今のは……っ」

『好きなの？』

「えっ…」



ふいに、Aさんは真剣な眼差しを僕に向けて聞いた。

そんな瞳に、嘘はつけなくて。

口を開いて、閉じて。
また開けば、やはり閉じる。



「………はい、好きです。
　出会った時に微笑みかけてくれたのが、嬉しくて」



忘れられない、あの笑顔。
あんなに優しく、柔らかく微笑んでくれた彼女に僕は一瞬で恋に落ちた。

弱い僕を、強いと言ってくれる所が、
ウジウジとしながらも誘った映画に答えてくれる所が、
格好良いと思いきや、案外ギャップのある所が、
彼女も僕と自分を弱いと思ってしまっている所が、
優しく声をかけて、微笑んでくれる所が、



「全部……好きなんです」



こんな僕が、完璧な貴女を好きだなんて、笑える話だ。

けれど、言いたくないのに言いたかった。
僕の思いを知ってほしかった。



『期待してて良かった』



そうやってAさんは、今までに無い程、
年相応に笑う。



『私も好きだよ、敦君！』



驚きで固まってしまえば、
Aさんは僕に抱きついた。



「！？！？」

『敦君、初恋だよね？』

「は、はひ……」



可愛い。なんか、滅茶苦茶可愛い！
案外、甘えん坊なのか……？



『敦君の初恋の相手で嬉しいよ』

「僕、これが最初で最後です…」

『ずっと好きでいてくれるってこと？男前〜！
　なら……ね？男子から言う言葉』



期待の眼差しを向けるAさんに緊張しつつも、
身体が、顔が、今までに無いほど熱くなりつつも、



「僕と……付き合ってくれますか？」

『勿論』



Aさんは、あどけなく笑って頷いた。



『ありがとう、敦君』







_______西のヘタレ、振り向いてほしいので頑張ります。

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