西のヘタレ、振り向いてほしいので頑張ります。【文スト】【完結】

恋して　28日 ページ29

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今日は、Aさんの退院の日。
怪我も治り、耳も安定に聞こえるらしい。

僕は今日、休みも貰ってAさんがいる病院へと向かっていた。

病院につき、Aさんがいる部屋をあければ、
Aさんはベッドの布団を畳んだり、
ほこりを払って綺麗にしたりしていた。



『ん、敦君。おはよ』

「おはようございます」



弱々しそうにベッドに寝転んでいた数日前とは違い、いつもの真顔だけど何処か少し柔らかいAさん。



「部屋、綺麗にしてるんですか？」

『お世話になったからね。ほんの気持ちだよ』



そうやって可愛らしく微笑んだ。


____「Aはあんなに笑う女性じゃなかった。」


いつの日か、太宰さんが言った言葉。
彼女が明るく笑う回数が増えたのは、僕がきっかけだと太宰さんは言う。

もし、それが本当だとするのならば。
完璧なAさんでも、僕にチャンスはあるだろうか。



『敦君』

「えっ………あ、はい！」

『待たせてごめんね。行こうか』

「いえ、平気です！行きましょう！」



僕達はこの後、病院を出て、映画を観に行く。


＊＊＊



『今日は何観ようか？』

「前回は僕が観たいの観たので………。
　Aさん、何かありますか？」

『私は………』



きょろきょろと映画のポスターを見回して。



『あっ、私あれがいいな』



Aさんが指差したのは、
子供向けアニメーション映画。



「………あれですか？」

『嫌なら別のに……』

「否！嫌と言う訳ではなくて！」



Aさんは、格好良いイメージがある。
その為、勝手にミステリードラマとかバトルものを観るかと思っていたが。

まさか、あれとは………。

これがギャップか。可愛い…………。


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