恋して 21日 ページ22
***
息が苦しい。
肺が千切れそう。
それでも、足は止まらない。止めれない。
一心不乱に僕は病院まで走る。
大きな怪我ってどのくらいだろう?
命に関わる程だったどうしよう?
兎に角。速く病院に行って、与謝野先生の元へ連れていかなければ。
気が付けば病院に着いていた。
僕は、急いで中に入り、受け付けへと向かう。
「あのっ、すみせん、平潟Aさんという方……
いらっしゃいますか………!」
「平潟さんなら、三階の1025室ですよ」
「ありがとうございます!」
僕は、エレベーターに乗りこみ、
息切れを整えた。
1021、1022、1023、1024………。
あった。1025室。
僕は心を落ち着かせ、軽くノックをする。
「失礼します」
「入ンな」
聞こえたのは、電話の老人でもなく、Aさんでもない、与謝野先生の声。
僕は、改めて扉をゆっくり開けると。
其処には清潔な部屋が広がっていた。
寝具の上で寝転がるAさんと、
近くのパイプ椅子に座る与謝野先生がいた。
「Aさん………っ!」
『何かごめんね?心配かけちゃって』
僕は溢れ出しそうになる涙を堪えて、
そっと彼女に近付く。
「Aったら、子供が危ないとか言って、
道路に飛び出したンだよ。
妾が偶々近くにいて、
外傷は治せたから良かったけどねェ」
「外傷“は”………?」
『あまりにも車に強くぶつかって、
耳が片方あんまり聞こえないんだよね。
暫く入院して治療受ければ治るから大丈夫』
本当に、そうなのだろうか。
いつもより自信無さげな表情。
本当は、押し潰されそうな程に不安なのではないだろうか。
「妾は、業務もあったし、そろそろ行くよ。
社長には説明しておく」
『ありがとうございます』
与謝野先生は去っていき、Aさんは窓を見る。
その姿は、あまりにも儚かった。
今にも、ゆっくりと消えてしまいそうな程に。
「Aさん。僕の声、聞こえますか」
***
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推し丸様☆(プロフ) - 敦くんの話、最後まで良かったです!読むのがすごく楽しかったです!作者さんが活動休止、辞めるということはさみしいし、とても悲しいですけれど、最後まで連載、無理しない程度に頑張ってください!ずっと応援しています! (4月7日 21時) (レス) @page32 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - 完結おめでとうございます!!主様がお休み?になるのは寂しいですが、もう一方の連載も頑張ってください!!!楽しみにしてます!!お体には気をつけて!! (4月7日 20時) (レス) @page32 id: 140287e0ee (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 推し丸様☆さん» いえいえ!此方こそご許可ありがとうございました!お互い、頑張りましょうね! (3月29日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
推し丸様☆(プロフ) - そこら辺の壁さん!宣伝ありがとうございます✨もっともっと、楽しいなと思っていただけるよう頑張りますので、どうかあたたかく見守っていただけたらと思います!(*˘︶˘*).。.:*♡ (3月29日 21時) (レス) @page20 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - wakaさん» コメントありがとうございます!時々waka様にはコメントをいただけて、凄く励みになっております!これからも応援よろしくお願いします! (3月20日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そこら辺の壁 | 作成日時:2024年3月15日 21時