恋して 17日 ページ17
***
恋愛映画は、僕にはやはり早かったかも知れない。
其処まで過激なものではないが。
少しだけベッドシーンやキスシーン。
そんなものが入っている。
僕は見るだけでも精一杯だった。
チラリとAさんを見てみると。
彼女は何気なくスクリーンを見つめている。
同い年な筈なのに。
その整った横顔と雰囲気は、何歳も歳上の女性。
僕より、色んな事を経験してきたんだろうな………。
すると、僕の視線に気がつく。
『…ん?如何したの?』
「えっ、あ、否、すみません……何でもないです…」
僕は、慌ててスクリーンへと視線を戻した。
***
映画が終わり、エンドロールも終了。
あのようなシーンはあったものの、ミステリーや伏線回収シーンもある面白い映画だった。
『面白かったね』
「そうですね!……Aさんキャラクターの中だと誰がお好きでしたか?」
かなーりイケメンなキャラクターもいた為、
あわよくば、此処でAさんのタイプを知りたい。
『私は……あの主人公の友達かな……。
あの初心でピュアで少しヘタレな感じが好き』
何だか意外だった。
もっと大人っぽい人を好くと思っていたのに。
『あっ、ねぇ、分かった。
あの友達さ、敦君に似てない?』
「え………僕、ですか……?」
確かに。ヘタレだったり、初心だったりする部分は似ているかもだけど。
あの友達は何事にも積極的で格好良かった。
僕はいつもウジウジしていて格好良くない。
『そんな事ないと思うけど。敦君は強いよ。
決まった時は全力だし。
そうやって慎重に行くのは良い事じゃない?
勢いで行ってもいいけど、慎重に行くことでより良い結果を残せるんだから』
Aさんは、自然にそう言ってくれた。
孤児院では、いつも駄目な奴って言われて。
探偵社では、中々皆さんの様に自信を持てなくて。
いつも、ずっと、弱くて。
けれどAさんは、僕を見つけた。
微笑みかけて、心配してくれて、寄り添ってくれて、こうやって映画も来てくれた。
そんな所が、好きになったんだろうな………。
『今日は、誘ってくれてありがとう。
また映画行こうよ。今度は私から誘いたい』
また、笑ってくれる。
好きだ。大好きだ。
でも、ヘタレな僕は、まだ言えない。
「はい、是非。待ってます」
そう言うのが、精一杯だった。
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推し丸様☆(プロフ) - 敦くんの話、最後まで良かったです!読むのがすごく楽しかったです!作者さんが活動休止、辞めるということはさみしいし、とても悲しいですけれど、最後まで連載、無理しない程度に頑張ってください!ずっと応援しています! (4月7日 21時) (レス) @page32 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - 完結おめでとうございます!!主様がお休み?になるのは寂しいですが、もう一方の連載も頑張ってください!!!楽しみにしてます!!お体には気をつけて!! (4月7日 20時) (レス) @page32 id: 140287e0ee (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 推し丸様☆さん» いえいえ!此方こそご許可ありがとうございました!お互い、頑張りましょうね! (3月29日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
推し丸様☆(プロフ) - そこら辺の壁さん!宣伝ありがとうございます✨もっともっと、楽しいなと思っていただけるよう頑張りますので、どうかあたたかく見守っていただけたらと思います!(*˘︶˘*).。.:*♡ (3月29日 21時) (レス) @page20 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - wakaさん» コメントありがとうございます!時々waka様にはコメントをいただけて、凄く励みになっております!これからも応援よろしくお願いします! (3月20日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そこら辺の壁 | 作成日時:2024年3月15日 21時