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恋して 14日 ページ14

***


とぼとぼと重い足取りで歩く帰り道。
社員寮につき、扉を開ける。

広がるのは、いつもの少しボロい殺風景な部屋。
僕は入っては、倒れる様に寝転んだ。


何分程そうしていたのだろうか。
気が付いたときには、もう外は暗かった。

如何やら寝てしまったらしい。
ご飯を食べなきゃだが、どうも口に入らない気がした。

すると。ピンポーンと、軽やかな呼び鈴が鳴った。
こんな時間に誰だろう?

少し驚きながらも僕は恐る恐る扉を開ける。
其処には______________________________



『今晩は。敦君』

「え………」



艶々とした髪、華奢な身体、大人っぽい雰囲気、
整った顔………Aさんが立っていた。

手には大きな袋を抱えている。



「如何したんですかこんな時間に!?」

『いきなりごめんね?
 何だか敦君元気無かったから気になっちゃて……』



僕を心配して、態々来てくれたのか。
優しい心に思わず涙が出そうになる。

それをぐっと堪えて。



「ありがとう、ございます……!」



Aさんは頷くと。



『ねぇ、何かもう食べた?』

「否、まだ特に……」

『なら、私が作っても良い?』



カチリ……と固まってしまう。
顔はどんどん熱くなる。

え、手料理?Aさんの?逆に良いの?

どうしよう滅茶苦茶食べたい!
先程まで無かった食欲はみるみる湧いてくる。



『手料理とか、駄目なタイプ?』

「いえっ、そうではなくてですね!!
 逆に……良いのかなと……思って、しまいまして…」



もっとハッキリ格好良く言えたら良いのに。
どうしてこんなにもウジウジしてしまうのだろう。

しかし、Aさんは楽しそうに笑った。



『そっか。いいのいいの。
 私がやりたくてやってるんだから。

 それじゃあ、お邪魔します』



初めて出会った頃、こんなにも笑う人だとは思わなかった。

表情変化、感情変化の少ない冷たい人。

けれど、本当は、こんなにも笑ってくれる。
僕はやっぱり、彼女が好きなのだ。

映画………誘ってみようかな……。


***

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推し丸様☆(プロフ) - 敦くんの話、最後まで良かったです!読むのがすごく楽しかったです!作者さんが活動休止、辞めるということはさみしいし、とても悲しいですけれど、最後まで連載、無理しない程度に頑張ってください!ずっと応援しています! (4月7日 21時) (レス) @page32 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - 完結おめでとうございます!!主様がお休み?になるのは寂しいですが、もう一方の連載も頑張ってください!!!楽しみにしてます!!お体には気をつけて!! (4月7日 20時) (レス) @page32 id: 140287e0ee (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 推し丸様☆さん» いえいえ!此方こそご許可ありがとうございました!お互い、頑張りましょうね! (3月29日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
推し丸様☆(プロフ) - そこら辺の壁さん!宣伝ありがとうございます✨もっともっと、楽しいなと思っていただけるよう頑張りますので、どうかあたたかく見守っていただけたらと思います!(*˘︶˘*).。.:*♡ (3月29日 21時) (レス) @page20 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - wakaさん» コメントありがとうございます!時々waka様にはコメントをいただけて、凄く励みになっております!これからも応援よろしくお願いします! (3月20日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そこら辺の壁 | 作成日時:2024年3月15日 21時

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