【ホバーチョコ】 ページ9
彼女がウォンカの危機に気付いたのは、喧騒の中を掻き分けて彼の元へ三人の男が歩み寄ったからだ。
この街を牛耳っているといっても過言ではない、チョコレート組合の者たち。
スラグワース、プロドノーズ、そしてフィクルグルーバー。
チョコレートを作る者にとって彼らを知らぬ者はモグリと言えるだろう。
現に、ウォンカは興奮気味にスラグワースと握手を交わしていた。
アリスは気付かれぬよう、少し離れた人影に身を潜める。
彼らの会話は聞き取りにくくなってしまうが、今この場においては自分が見つかる方が厄介だった。
例の三人はウォンカのチョコレートの味見をしているようだ。
何やら味の感想を言っているようだったが、やはりその内容までは聞き取れない。
途中でウォンカが興奮しながら叫んでいたが、その後一瞬で困惑と哀しさが混ざった表情を見せた。
彼らが何を言わんとしたのかは聞かずとも何となく分かる。
商売敵になりかねないチョコ職人に対する振舞いなど知れていた。
寄りによって彼らの店の目の前で、チョコレートを売り出すなんて……。
他の二人がどうだかは知らないが、少なくともあの中の”一人”がどういう人物なのかだけは分かり切っている。
きっと心無い言葉を言われたのだろう。
傷付いて落ち込んでしまうのではないかとハラハラしながら、人混みをじっと見つめたアリス。
彼らを囲う群がりがざわざわと騒然とし始める。と、同時に目を見張る出来事が起こった。
「なんだこれは！？」
誰かが叫んだ。人が……浮いてる？まさか、そんな馬鹿な。
アリスもそう思ったし、視線の先のチョコレート組合の三人も同じ顔をしていた。
夢でも見ているんじゃないかと理解が追い付かない中、彼が高らかに声を張り上げる。
「空飛ぶチョコ、欲しい人！」
瓶を開くとそこから小さな何かがふわりと飛んでいく。
その言葉を聞いて、彼の周りに集まっていた人々はワァッと歓声を上げて手を伸ばした。
そして空飛ぶチョコを口にした者たちが次々に宙へと飛び立つ。皆、楽しげに。
アリスは……微動だにせずただ息を忘れていた。
目の前で起こっている出来事が信じられずに居れば、バチっと視線が重なった。
自称、最高のチョコ職人。ウィリー・ウォンカと。
その瞬間、時間が止まったような感覚がした。
彼がアリスの存在に気付くと、ウィンクを飛ばしてくる。
何だか気恥ずかしくなって……彼女はその場を逃げるように駆け出した。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
