【17歳最後の日】 ページ44
遂に来た。17歳最後の日が。
顔を洗い、意識をシャキッとさせる。
いつも通りだ。いつも通りでいい。
なるべく何も考えないように、アリスは朝のルーティンに取り掛かる。
朝食を準備して、表の掃除をして、昨日の仕込みの様子を見て、洗濯物を纏めて……。
途中、ヌードルの顔が思い浮かんで危うく誰かを連想しかけたが、頭を振って何でもない振りをする。
しばらくして、父がのそのそと階段を下りてきた。
あまり元気が無いように見える彼へ、極力いつも通りに見えるよう普通に挨拶をするアリス。
「おはよう、パパ。朝ごはん出来てるよ」
「……ありがとう、アリス」
力なく微笑み、挨拶を返す父。
「そんな顔しないで」アリスは不安そうな父へ思わずハグをした。
優しく抱き返してくれる父に、こっちまで泣きそうになる。
なるべくいつも通りを貫こうと思っていたが、結局上手くいかなかった。
「私は大丈夫だよ、パパ。悪い事は何も起きてない、でしょ？」
そう。ただフィクルグルーバーの妻として、秘書として生きていくことになっただけの事。
もう、料理の腕を振舞えなくなった。ただそれだけの事。
父に会えなくなるわけではない。多分、たまに家に帰るくらいは許してくれるだろう。
この店が残ってくれてれば、それで良い。
「ごめんよアリス。何も出来なくて……」
「謝らないで。パパは悪くないよ。ずっと私に寄り添ってくれた。それだけで十分だよ」
ポンポンと、回した手で父の背中を叩く。
「たまに滅茶苦茶だなって思う時もあったけど」と付け足せば、彼が朗らかに笑った。
本当はこのまま二人の時間を過ごしたかったが、折角の最終日。
アリスは開店準備に戻ろうと、父の手から離れる。
すると父は神妙な面持ちを見せて、徐ろに口を開いた。
「最後にすまないが、ちょっと紅茶の葉を買ってきてくれないかい？」
「えっ……？いつものやつ？」
「あぁ、いつものやつともう一つお願いしたいんだ」
別の紅茶？今までなかったおつかいに、アリスは首を傾げる。
しかし「頼むよ」と切実そうにお願いされては断ることは出来ない。
彼女は時計を確認して、早めに行って帰って来よう。と考えていた。
アリスにとっても、ポールにとっても、ウォンカにとっても、これが本当に本当の最後のチャンス。
彼は夢を、彼の魔法に賭けて、彼女の行き先を見守る。
アリスはそんなの想いも知らぬまま、グルメガレリアに足を向けた。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
