【好きな人と、そうでもない時間】 ページ42
予定よりも早いウィリーウォンカのご帰還に、クリーニング屋一同は顔を顰めた。
代表してヌードルが何かあったのか問えば、ウォンカは素直に先程までのことを話す。
アリスにチョコを食べさせてあげられなかった事を。
それを聞いて皆が一斉に肩を落としたが「まだチャンスはあるんだ」という言葉に、また一斉に彼を鼓舞してくれた。
「Honest kitchen」の二人も好きだが、やっぱりここのみんなも大好きだと、改めて彼は思う。
こうやって同じ方向を向いてくれる彼らが本当に、心強い。
それから移動中ずっと考えていた新しい内装の提案と、段取りを相談する。
話が纏まれば、皆はそれぞれの部屋へ戻っていった。
売上計算の途中だったアバカスと、ウォンカの相棒兼専属教師のヌードルを除いて。
……彼らの事は大好きだが、ウォンカはこの時間があまり好きではなかった。
「じゃあウィリー、昨日の続きね」
意気揚々と授業を始めるヌードル先生を前に、ウォンカの顔が一瞬でつまらなそうな表情に変わる。
単語の羅列を指して「これは？」と聞いても、彼は適当な返事をするばかり。
授業に身が入らないのは勉強に興味がないだけではなかった。
未だにアリスの事を考えてしまうのだ。
上の空のウォンカに、頬を膨らませてムッとするヌードル。
そこへアバカスが小さく耳打ちをした。
「……じゃあ、これはなんだと思う？」
「さあね、さっぱり」
「そう。残念。正解はーーーアリスだよ」
「アリス！！」
突然の声量に、ヌードルはビックリして飛退いた。
眠そうに椅子に寄りかかっていたウォンカがロケットの如く飛び上がり、文字の羅列で埋め尽くされたボードに迫る。
眼を見開きアリスの名前を指でなぞりながら、何故か笑みを見せるウォンカ。
その姿に、ヌードルは初めて見るタイプの恐怖を覚えた。
流石のアバカスもここまでの反応は想像していなかったらしく、苦笑いを浮かべている。
「……ウィリーはアリスの事が好きなの？」
「好きだよ、勿論。作り立てのまだほんのり温かいチョコレートと同じくらい。好き」
分かるようでいまいちピンとこない例えの後に「君も好きだよ、ヌードル」と付け加えられた。
そういう意味で聞いたんじゃないんだけど。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
