【青天の霹靂】 ページ38
毛布をどかすと、目の前にアリスが立っていた。
その表情を見てウォンカの心臓が跳ねる。
彼女の眼は潤んでいて、今にも崩壊しそうだった。
本当にさっきの声が彼女のものだったのか、疑いたくなる。
「アリス……」
「ごめんなさい……」
彼女の名を呼んでも、此方を見てくれない。
小さく謝罪の言葉を呟かれた。
「君が謝ることじゃないよ」安心させようと、可能な限り柔らかな声でそう言ったが、彼女はただもう一度「ごめんなさい」を繰り返す。
シンと静まる裏玄関。
店の奥からフィクルグルーバーの声が途切れ途切れに聞こえてきた。
それが自分に対する良くない話なのだと、ウォンカは察する。
相当目の敵にされているようだ。
アリスにも聞こえているのか、下唇を噛む彼女。
瞳に溜められた露が、もう少しで溢れそうになっている。
星の光を受けてキラキラしてるのが綺麗だな。なんて、こんな時にそんな軽率な事思っちゃいけない。
何と言葉を掛けようか迷っていれば、彼女はスッと背を向けてしまった。
遠くからフィクルグルーバーがアリスの名前を呼ぶ声がする。
「今日はありがとうございます……宿までパパに送らせますから……」
「アリス。チョコの事なら気にしないで。また作るよ、加工に時間が掛かってしまうからまた数日後にでも……」
「もう、大丈夫です。本当にありがとうございました」
「アリス、待っ」
「……お願いだから、もう……放っておいて……！」
バッサリと言い放って、一度も目を合わすことなく彼女はレストランの中へ足早に戻って行く。
引き留めようと腕を伸ばすが、彼の手は彼女に届かず空を切るだけ。
そんな事を言われても、大丈夫なふうには全く見えなかった。
レストランの奥からは、また聞いたことのない元気な女の子の声が聞こえてくる。
ちらちらと雪が降り始め、赤くなり始める彼の鼻先。
入れ替わりでアリスのパパが来るまで、ウォンカは真冬の夜空の下をぼーっと立ち尽くしていた。
「……すまなかったね、ウォンカくん」
「ポールさん……」
「さぁ、宿まで送ろう」
大きな洗濯袋を取り出すと、それですっぽりとウォンカを覆った。
そしてサンタクロースの如く袋を担ぐと、人がやっと一人入れるくらいの台車に乗せられる。
ガタガタと道を滑る台車と、家路に着く大きな荷台の洗濯袋。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
