【オレンジの小男】 ページ33
また暫くして、噂のウィリー・ウォンカがレストランに現れた。
彼は気まぐれチョコショップが上手くいっていることを楽しそうにアリスの父に語っている。
アリスも、上手くいっている事は間接的に分かっていた。
最近目に見えて苛立っているフィクルグルーバーが、ストレス発散の為に散財を繰り返しアリスのクローゼットいっぱいに洋服が詰め込まれているからだ。
今日も彼女は明日の仕込みを黙々と行っている。
背後で楽しげな団欒の声を聞いていると、これが日常なら良いのに……なんて、叶わぬことを思ってしまう。
「アリス、毛布を貰っても？」
「……また？」
振り返らずとも、心地よい眠りに着いてしまった父のシルエットが想像出来た。
調子に乗ってお酒なんか飲むから……アリスは心の中で小言を唱えながら、父を毛布で包む。
それから再び鍋の様子を見ていたが、興味深そうにジーッと視線を送ってくるウォンカが気になって仕方なかった。
彼女が一段落するのを待っているのだろう。やけにそわそわしている彼。
客人をただ待たせるのも申し訳ないな、とアリスの心遣いが一つの話題を彼に投げかけた。
「さっきパパに言ってた……オレンジ色の小男の話なんですけど」
「あぁ、ルンパランドのウンパルンパさん」
「……貴方のチョコを盗まれて困ってるんですよね？」
「そうなんだよ、お陰で今日はチョコを売りに行けなかったんだ」
彼は過去にウンパルンパと呼ばれる小男の大切なカカオ四つを盗んでしまい、その千倍のチョコの返納を数年に掛けて要求されているらしい。
話を聞く限りでは、返すと言うより回収されているに近いか。
アリスは鍋をかき混ぜながらただの世間話のつもりで言う。
「フィクルグルーバー製のチョコで良ければ、お渡ししますよ」
「えっ？」
「お願いすれば、沢山もらえると思います。ただ、ウンパルンパさんがそれで良ければですけど」
軽い提案のつもりだった。
しかしウォンカが驚く声を上げたきり黙ってしまったので、アリスは不思議に思って振り返る。
目が合えば驚きと喜びが同時に来たような顔をして、弾んだ声で彼は言った。
「信じてくれるの？オレンジの小男の事」
「え……どういう事？」
「だって今まで誰も信じてくれなかったんだ！」
信じてくれたのは君が初めてだよ！
嬉しくて仕方がないのか、彼は子供のようにはしゃぐ。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
