【カウントダウン】 ページ32
その日の夜。
婚約者が大量に購入した衣服の一つを着せられ、アリスは人形のようにちょこん、と椅子に座れせられていた。
生まれた時からずっと住んでいる自分の家なのに、気持ちがザワザワと落ち着かない。
それもそのはずだ。眼の前には豪勢な料理と、婚約者と、その同業者が二人。
再び訪れた最悪の晩餐は、アリスの表情だけを明るくさせた。
「そうか、もうすぐ君の誕生日かアリス。プレゼントは何が欲しい？」
「そんな、お気持ちだけで充分です。スラグワースさん」
「遠慮は要らない。フィリックスにとってもめでたい日なのだからな」
「プロドノーズさんまで……」
18歳の誕生日。考えただけでも吐き気がしたが、アリスは困ったような笑みを作る。
フィクルグルーバーと目が合えば「この際なんでも頼むといい」と、薄く笑った。
じゃあ遠慮なく、早く帰ってください。
とは勿論言えずに彼らが気に入るであろう返しを考える。
だが、思い付いたのはただ一つの不安だった。
「……私がいなくなった後のこのレストランが心配です」
「そうか……家族思いの君はそうだろうな。
安心していいアリス。私が君の代わりになる腕利きのシェフを探しておこう」
まるで気を利かせているかのような物言いのスラグワース。
そんな事をしたら「Honest kitchen」では無くなってしまうというのに。
彼女の望みはただ一つ、父の味が此処で永遠に残り続ける事。
その為なら何でも差し出せるし、差し出して来た。自分の未来さえも。
「それに、私がちゃんとフィリックスさんの秘書としてやっていけるかも心配で……」
「そんな心配をしていたのか。大丈夫だとも、私が常に君の隣に居る」
「頼もしいな。もし困ったことがあればミス・ボンボンに相談なさい。彼女に秘書としての教示を受けると良い」
「はい、私も一度お話してみたかったので。是非次の機会に」
我ながら、よくこんなに思っても無い言葉が出るものだと恐ろしく思う。
18歳になれば、彼女はフィクルグルーバー社のモノになる。
それがこの店を残し続ける唯一の手段。
これ以上の望みを叶える方法がアリスにはもう分からなかった。
時間はもう残されていない。カウントダウンはあと数日。
婚約者に肩を抱かれて、彼女はその時を待つーーー
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
