【悪い魔法】 ページ28
何を思ったのか、ウォンカの顔がアリスの鼻先ぎりぎりまで近付いた。
視界いっぱいに整った顔立ち。
長いまつ毛に縁取られたグリーンの両眼の中に、彼女の顔が映る。
「どう？」至近距離の囁き声は、胸の中をくすぐられたような感覚をもたらす。
チョコがどうとか、香りがどうとか、そんなこと全部頭から吹き飛んでしまった。
文字通りアリスは弾け飛んで、部屋いっぱいまで後退る。
勢いで椅子が倒れてしまったが、彼女の父はそれでも呑気に寝息を立てていた。
「〜〜〜っ！！！」
「え？もしかして、僕臭かった？」
意味のある言葉になっていない発声を繰り出すアリス。
それを受けて、ウォンカは自身の匂いをクンクンと嗅ぎ始めた。
違う、そういう事じゃない。
彼女はそう言いたかったが、喉の奥に言葉が詰まって出てこない。
距離感ハチャメチャ男は「そんなに酷い匂いじゃないよ」なんて的外れなことを言っている。
バクバクと暴れる心臓が痛い。
胸の辺りを摩りながら、鼻の頭も擦るアリス。
ウォンカの目には彼女の方が奇妙に見えているらしく、不服そうに唇を咎らせた。
「確かにちょっと……ほんのり下水道の匂いがしたかもしれなかったけど……。
とにかく僕は信じないよ。君がチョコ嫌いだなんて」
「そ、そんなこと言われても……」
「君は僕のチョコを食べたことがないから、本当の美味しさを知らないだけさ。
ーーーそうか！」
それどころじゃないアリスを置いてけぼりにして、ウォンカは一人話を進める。
スタスタとこちらに向かってくるので、彼女が身を縮こませれば、その場で足を止めた彼。
たぶん、まだ臭いと思われてる、と思ったのだ。
咳払いを一つしてから、彼は良いアイデアだと言わんばかりに堂々とした声色で申し上げる。
「君はチョコが好きじゃなくなる悪い魔法をかけられているんだ！」
「……はい？」
「だから僕のとびきりのチョコで君の魔法を解いてあげよう！」
心からの妙案だと誇らしげなウォンカ。
そんな発想一体何処から湧いてくるのだろうか。
これ以上意地を張り合ったところで、意味のある時間を過ごせるとは思えない。
代わりに引き攣った笑みを浮かべる事で、アリスはチョコ嫌いの話題に終止符を打った。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
