【チョコレートを作る人たち】 ページ18
アリスが緊張するほど、重々しい会食にはならなかった。最初のうちは。
三人の会話は普通の仕事の話やお酒の話や日常会話ばかり。
時折アリスにも話題が振られたが、答えにくいような質問などもない。
ただ、少し離れた所で笑みを絶やさない母が不気味ではある。
父はずっと仕込みの準備をしていて、普段のお喋りが嘘みたいに静かで、此方に関しては心細く感じていた。
ただアリスも心の中で気遣う事は出来ても、実際に出来るのはテーブルに着いてただニコニコして穏便に時が過ぎるのを待つだけ。
暫く雑談をしていた所で、いつの間にかチョコレートの話題になり、そこから不穏な気配を帯びて来る。
「それにしても、あのウィリー・ウォンカと言う男、あんな品の無いチョコレートをこの街で売ろうとは……」
「我々が築き上げてきた品位を下げる事は許される事ではない」
「相応の罰は受けてもらうおう」
彼らが口々に突然現れたチョコ職人、ウィリー・ウォンカへの悪態を付き始めたのだ。
まぁ、やっぱりそう考えてるよね……と、アリスにも想像出来る反応である。
チョコレート組合の三人が苦々しい面持ちを見せ、漂う空気が重くなる。
「奴は必ずまた何処かで低俗なチョコレートを売り捌くでしょうな」
「全く嘆かわしい……アリス、君もそうは思わないかい？」
「わ、私は……」
フィクルグルーバーから嫌な話を振られた。
同時に三人のじっとりした視線がアリスに向けられる。
口の中が乾く。彼女は自分の立場とすべき事を頭の中で反芻し、そこから導き出される｢言うべき事｣を口にした。
「この街の品質を変えてしまうような、人々に悪い影響を与えてしまうようなチョコレートは、あってはいけないと思います。
……それに私は、フィリックスさんの所のチョコレートさえあれば良いので」
「こらアリス、それはお二人にも失礼に当たるよ」
「ははは、相変わらず聡明なお嬢さんだ。愛されていて羨ましいよフィリックス」
「言わされているようにしか見えないぞフィリックス」
「妬まないでくれよ、ジェラルド」
本気にしているのかは知らないが、思っても無いアリスの言葉に愉悦を見せるフィクルグルーバーと他二人。
此れで良い。時さえ過ぎてくれればそれだけで平穏は訪れてくれる。
心の何処かが擦り減っていく感覚を無視しながら、彼女は堪え、笑った。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
