【来訪者】 ページ2
もしかしたら”彼”にはそんな彼女の心の悲鳴が聞こえていたのかもしれない。
もしくはただ、彼女の作っていたソースの香りに導かれた来ただけかも。
頃合いを見計らって、温めたシチューを火から下す。
あ、盛り付ける皿を出してなかった。気付いたアリスが戸棚の方を振り向いた瞬間。
ドンドンドンーーーレストランの扉が叩かれたような気がした。
一瞬風の音かと思ったが、ギギッと重い音を立てて扉が少しだけ開く。
もう外の扉には「close」の札が掛かっているはず。
ということは、つまり、来訪者はーーーお客じゃない。
嫌な予感と嫌悪感が同時に襲ってきて、彼女は身体を震わせた。
出迎えたくない。でも、出迎えなくてはならない。
反発しあう心で息詰まりそうになりながら、無理やり笑みを作る。
そして硬直する彼女の前に現れたのはーーー
「ハロー……？」
「……はい？」
彼女の前に現れたのは、全く見知らぬ男だった。
歳は20代後半くらいか。
ブラウンのシルクハットに、ワインレッドのコート。
予想していた色彩とはほぼ真逆の色合いの登場に、アリスは茫然と固まってしまう。
そんな様子の彼女へ、男は申し訳なさそうに声を掛けてくる。
「えっと、もうお店終わってるのかな」
「え、えぇ……外に札が掛かってたと思うんですけど……」
「あー……ごめん。メニュー表が出てるのしか見てなかったから……」
「え？メニュー出しっぱなしだった？」
そう聞くと、彼はこくこくと頷く。
しまった。やらかした。
彼女は外に飛び出すと、屋外用のメニュースタンドを大慌てで片づけた。
仕込み以外のこともちゃんと考えなきゃ駄目だな……。と反省する。
だが彼女が今すべきは一人反省会ではない。
未だ店の扉の前に立ちっぱなしの来訪者。ハッとして、アリスは彼に向き直った。
「すみません……メニューはしまい忘れで……。
うち、今日はもう店仕舞いなんです」
「そっか、それは残念。もうこの辺りのレストランはみんな店仕舞いしているみたいでね」
「そうですね……この辺でまだ開いてるとしたらパブとかくらいしか」
アリスがそう返すと、男は天を見上げながら「んー」と唸る。
彼女も近場の店を思い出そうと「んー」と頭を捻った。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
