だから恋は難しい (🧡)

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そのあと、「俺の話はええよ〜」なんてしぶりながらも
康二くんも私と一緒で仕事が忙しかった事を教えてくれた。

ツアーでいろんな所に行っていたらしい。



もっともっと話したかったけど、
普通に都心の本屋さんだし、康二くんが気付かれたらよくないと思って

「会えて嬉しかったです、また連絡しますね」

後ろ髪引かれながら康二くんに手を抑えめに振ると

その手は康二くんの両手でぎゅうっと握られた。



「え、こ、康二くん？」

「ちょっと、まって」

「で、でも、バレちゃいますよ」

「今考えるから、とりあえず、待って」


今考えるって言葉が少し面白くて康二くんが悩む姿を見つめる。

私だって、少しでもせっかく会えた康二くんをもっと見ていたいし話したい。

そしたら


「…よし、いこか！」

と、いきなり思いたったように
その手を握ったまま、私を引っ張った。


「ええっ！康二くん？どこに…」

「俺んち！」

言われるがまま、康二くんに連れられて駐車場まで小走り。



「あ、予定あった？もしかして」

「いや、ないですないです、」

「よかった。
…会えへんなんて言っても、会ってしもたら、やっぱ人間あかんな、欲張りになって。」




康二くんはそう言って助手席を開けてくれた。

車に乗り込むと、康二くんは少しまじめな顔をしてハンドルを握る。

私は今のこの状況も、言われた言葉も理解できないままただただ従うしかなくて


「康二くん、運転じょうずですね」

なんてとんちんかんな事を言うのだった。
康二くんは「せやろ〜？」ってその言葉に乗ってくれたけど、横をふと見たら笑いを堪えてた。





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