・死神の要望 ページ13
「はい大勝利ー俺様最強ー!」
「……」
「相棒、勝者の俺様に何か言うことは? 勝者の俺様に」
「…………ずっと気になってたんだけどさ、寝癖付いてるよ?」
「げっマジ!? そういうことは早めに言えよ……ってそうじゃなくてだな」
「冗談冗談。勝利おめでとう。最近負け続きだったもんね」
「一言余計なんだよ」
「最近負け続きだったもんね」
「そっちじゃねえよ!」
バトル直後で疲れているであろうにも関わらず、Aの発言に軽快に突っ込みを入れていく13。夫婦漫才ってやつぅ? と少し遠くで眺めていたきららが笑う。
「あれ、零夜は?」
「俺の前で他のオトコの話出すなよ。僕ちゃん妬いちゃぁう」
「……あ、チャネリングの時間か」
「…………せーかい。でも何もスルーするこたァねーだろ」
そんな雑談をしながらも、Aは13が何か自分に用事があることを目線や声のトーンで察していた。だからその場を立ち去らず、13が話を切り出すのを待つ。
そして13もまた、Aが自分の思惑に気付いていることに気付いていた。だから──一瞬尻込みしてしまったけれど──深い呼吸を一つして、やっとの思いでそれを口にした。
「相棒、久々に勝てたことだし、俺様何かゴホービがほしーなー」
「え、そんなこと? いいよ。5000BMとかでいい?」
「軽ッ! ……ってか、いや、金じゃなくてさ」
「え、違うの?」
「何本気で驚いた顔してんだよ……」
「いや13ってお金に汚いイメージあったからさ」
「事実無根だし、自分を巡って争う男を利用して稼いでるお前にだけは言われたくねーよ!」
「じゃあ何が欲しいの?」
「……いやほら、なんつーか、分かんねえもんか? 俺は男でお前は女で、俺の好きな奴はお前でお前はそれを知ってて…………ってなったら、なんか、ほら……分かんだろ」
「なにモニョモニョ言ってんの?」
照れからか徐々に声量を落としていく13に、Aは容赦なく詰め寄る。13は極限まで顔を赤くしながら、
「だからその……そこのソファに座れ」
と、吐き出すように言った。
「へ? 別にいいけど……」
すとん、とAが柔らかいソファに腰掛ける。13もその隣に座り、Aの太腿にこわごわと手を置いた。
Aは13が言わんとする「ゴホービ」の正体を悟り、了承の意を示すように頷く。13はぱあっと表情を輝かせ、おもむろに彼女の太腿に頭を乗せた。
「素直に膝枕してって言ってくれればよかったのに」
「それはなんか恥ずいじゃん」
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作者名:パト | 作成日時:2022年9月14日 18時