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「ただいまー」
「お帰り。どうだった?」
「休憩時間に教えるから席つくね。翼君に遅刻するなって言われちゃったから」
「あぁ」
ちゃんと遅刻しない時間に戻ってきた。
さすが鶴宮。嫌いな相手でもちゃんと遅刻への配慮が出来ている。
そういうところだけは尊敬できるし好感が持てる。
…今日も、歩原は来ていないみたいだな。
やはり理由は体調不良か。
「へくしっ」
「おい秀同院、大丈夫か?」
「今日は校門前で風紀委員の服装点検があって…
上着盗られちゃって寒いんです」
「夏だぞ今」
…あいつが休んだほうがいいんじゃないか。寒がりなんてレベルじゃないだろアレは。
話す約束をしたからか朝会が終わって早々近づいてくる。
「委員長、上着持ってない?」
「持ってるように見えるか。後ろに白衣を着てる先生が居るからそっちから盗れ」
「ちょっと待ってオレこの下一枚しか着てないんだけど」
それはそれで何でだ。
「替えの白衣とかないです?」
「ないから我慢してくれ。ほら若いんだから」
「先生も若いでしょ」
「オレはもう成人してるからさ。ほら22歳だし」
22歳はまだ若いだろう。
「あ、オレ次授業入ってるから失礼しまーす」
「逃げた」
教室から出ていく先生を見送りながら「それで」と会話をつなげる。
秀同院もうなずいて僕にしか聞こえない声で話し始めた。
「翼君は知り合いが言ってたって言ってたよ。
知り合いが、夜の公園で誰かに襲われてる金髪の高校生を見たって」
「…その知り合いは、何ですぐに近づかなかったんだ?」
「さぁ?
そもそも、翼君が言っていたことが本当かもわからないからね」
「珍しいな。お前が鶴宮を疑うなんて」
「疑ってはないよ。ただ…」
「…?」
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作者名:future*show | 作者ホームページ:
作成日時:2021年8月4日 17時