【ヤンデレ】色を失くした君に【オリジナルBL】 (ページ5)

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教室が近くなってくる。
また小太郎と離れなきゃいけないという事実にため息がこぼれた。
それを心配に思ったのか、小太郎はずっと僕を見上げている。
…可愛い。今日も頑張ろう。

「それじゃあ、また様子を見に来るからな」

「はい！」

　小太郎の席は教卓の前だ。
そこに席を置いても結局見えないのに…
クラスの奴らが全員そこが嫌だったんだろう。
それで優しい小太郎がそこの席を希望したに違いない。
いや、もしくはクラスの奴らが小太郎に無理やりそこの席を希望させたか…

「おい、跳野？」

「…左沢麗先生」

　左沢麗。22歳。
僕のクラスの副担任で、担当教科は科学。
一応僕が所属している学級委員の担当でもある。
世界史のアイツとは昔からの仲らしい。

「正解。
　そろそろフルネームに先生つけるのやめてくれよ。
　左沢先生でいいってば」

「僕の勝手だろ。
　呼び捨てじゃないだけいいと思ってくれ」

「確かにそうだけど…」

「それともなんだ、僕に”れー”と呼んでほしいのか？」

「…ごめん、今まで通りで呼んで」

　”れー”は世界史のアイツがつけたあだ名だ。
下の名前の麗(うらら)からとったらしい。
…強く拒否しなければ、僕も”あお”と呼ばれていた。

「そろそろあのあだ名つける癖直さねぇとな…」

「別に僕に害はないからどうでもいい」

「そういえば話は変わるんだけど、前あいつと生鹿が…」

　小太郎の名前が出てふと先生のほうを見る。
すると左沢麗先生はふっと吹き出した。

「お前、本当に生鹿のこと大好きだな」

「早く続きを話せ」

「はいはい。
　あの二人って委員会のことも部活のこともあって仲が良いんだけどさ」

　部活…
たしか小太郎は書道部に入っていたっけ。
黒と白だから見えやすいみたいなことを言っていた。