【ヤンデレ】色を失くした君に【オリジナルBL】 (ページ15)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:13,291 hit

１４　小太郎視点ページ15

木村君は治療中らしい。
隣には弟二人が震えて座っている。
…二人はちゃんとした視界で見たんだ、しょうがない。
跳野君は警察の取り調べに応じている。
ボクらに休んでいてほしいから、と言っていた。
…彼は本当に優しい。

「大丈夫か？」

「…え」

　聞きなれた声。
…風紀委員の、歩原大河君だ。
そうだ、確か彼は木村君の友達だった。

「き、木村君は治療中です」

「そっちじゃない。
　…生鹿君、君は大丈夫か？」

　ここが病院だからか、声はいつもより静かだ。
…木村君の家族は来ていない。

「ボクはケガしてませんよ」

「そうじゃなくて…君も木村君の姿を見たんだろう？
　隣の弟君たちは怯えているが、君は普段通りだ。
　…弟君たちの前だからと、無理をしているのではないかと思ってな」

　無理…
無理は、してない。
少なくとも跳野君に比べたら。

「限界は人と比べるものじゃないぞ。
　君が大丈夫かどうかを聞いているんだ」

「…ボクは」

　何年か前の記憶がよみがえる。

「…怖い、です。
　中学生のころに、友達がみんな事故とかで居なくなっちゃって…
　それを思い出しちゃって、怖いんです」

「そうか。
　…わざわざ教えてくれるあたり、君はまだマシな方だよ」

　話せる過去はまだマシな過去ってことかな。
…そういえば、歩原君とまともに会話するのは初めてな気がする。
クラスも違うし、委員会も部活も違うから。

「跳野君は取り調べか？」

「はい。
　ボクらは休んでいろって」

「…そう」

　少し考えこむ体制を取る歩原君。
…何かあったのかな。

「そういえばオレも急いできたから疲れたな。
　弟君、隣に座ってもいいか？」

「う、うん」

「どうぞ」

「ありがとう」

…木村君、まだかな。