私の彼氏は闇金くん ( BTS )

闇金くん(20) ページ20

.




何日待ってもテヒョンは来なかった。

連絡すらなくて……ジミンに電話しても、

「あいつ今忙しくて行けそうにないから もう少し待って」

「大きいヤマ抱えてて大変なんだ」

って気が付いたら3回もジャンプして、元金は160万に膨れ上がっていた。

時間の感覚もおかしくて、一日一日があっという間に過ぎていく。


テヒョンに会えないからかな……。

毎日が色を失ってた。





「リアちゃん、シャネルの限定コフレ 今年も買うよね。一緒に予約しとこうか？」

「すみません。今年のやつは好みじゃなくて やめときます」

「そっか。また気が変わったら言ってね」

「はい」


前だったら迷いなくユナさんに予約してもらって買ってたコスメも買わなくなった。

友達からのランチの誘いも断るようになって、適当に安いものを買って食べた。


利息のお金だけでも確実に用意しなきゃ……。

貯金も合わせればあと何回ジャンプできるんだろう。指折り数えてるとき 元金の事は頭から消えていた。

これが闇金にハマった者の終末的な思考だって この時は気付けなかった。


営業終わって店を出るとジミンが待ってて 声を掛けてきた。


「利息回収しに来たよ」


まだテヒョンは来てくれないんだね……。

ジミンは「今度来させるから」って口癖のように言うけど来てくれないじゃん。





＊＊＊＊＊＊




「遠慮せず好きなだけ食べてね。なんか前より痩せた気がする。ちゃんと食べないとだめだよ」

「うん。ありがとう……」


ジミンに利息を渡したあと居酒屋に誘われて、テヒョンのこと聞きたい私は 大人しくついていった。


頼んでもらったサラダを一口食べたけど味がよくわからないや……。


「最近仕事どう？」

「あんまり稼げてない」


接客にもあせりが滲み出てるのか、指名も激減して利息を稼ぐのがやっとになってた。


「3回ジャンプしたから元金は160万……次は320万になるけど」

「そんなに？」

「計算くらいできるでしょ」


頭では分かっていたはずなのに、
具体的な数字を前にして言葉を失った。


「そろそろ元金回収したいんだけど」

「そんな……無理だよ」


320万 一括返済はキツ過ぎる。

それにまだテヒョンに会えてないのに。


「仕事うまくいってないなら他の店紹介しようか？今より沢山稼げるし お酒飲まなくていいから負担も少ないよ」


それってどんな店なのか聞かなくても分かるよ。


目の前にいるジミンが本物の悪魔に見えた。







.

闇金くん(21)→←闇金くん(19)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す