好きにして ページ5
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ジミンに交換できないなら、どうにかして返品だけでもしないと。
こんな俺様なアンドロイド私の手に負えない。
『交換できないなら、返品するから』
「Aは俺を捨てるの?」
『捨てるなんて、返品したら他の人のとこに行くんじゃないの?』
「Aのデータ入力してあるから、返品されたら俺破棄されるんだけど」
『破棄?』
「そうだよ。俺かわいそうだ……せっかくAに会えたのに死ぬんだ」
『死ぬなんて物騒な』
「はぁ、Aは俺が死んでも平気で生きてくんだね」
『いや、それは……』
「俺の人生ってなんなんだろう」
なんなんだろうって、
逆に私の人生ってなんなんだろう。
こっちが教えて欲しいくらいだよ。
厄介なことに、このアンドロイドに説明書はないらしい。
電源オフのボタンがあればすぐにでも押して黙らせるのに。
両手で顔を覆ってしまったジョングクは
「死ぬのはいやだ」とうめきながら、泣いているように見える。
『死ぬとか簡単に言わないでよ』
「じゃあ、ここに居てもいい?」
『それは……』
「駄目?」
『ああ、もういいよ』
「それって、」
『好きにしてってこと』
「居てもいいの?」
『うん』
「やった!」
ソファーから飛び上がったジョングク。
さっきの悲壮感たっぷりの感じはなんだったんだろう。
ただの嘘泣きじゃない。
「これからよろしくね、A!」
『あ、うん、ちょっと近い』
「なんで?恋人なんだからいいじゃん」
ぐいぐい身体を寄せられてソファーの端に追い詰められた私は、そのままジョングクの腕に抱き締められた。
『ちょ、苦しい』
「俺も」
『……なんでよ』
「胸が苦しいんだよ」
おかしいでしょ。あなたに心臓はないはず。
身体がきしむほど強く抱き締められて、抜け出せない。
息苦しくなってきたころに、
ふと頭によぎるジミンの顔。
ジミンだったらどんな風に抱き締めてくれたのかな。
「僕のこと忘れちゃったの?」
頭の中に小さく響いた声は、会ったこともないけど、ジミンのような気がした。
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Pちゃん()(プロフ) - 続き書かないんですかめちゃ気になります! (2019年12月5日 23時) (レス) id: 00ec3437ee (このIDを非表示/違反報告)
Pちゃん()(プロフ) - 続き書かないんですか?めちゃ気になります。更新待ってます! (2019年11月24日 22時) (レス) id: 00ec3437ee (このIDを非表示/違反報告)
結花(プロフ) - いえいえ^^*グクミンは大好きなんですよ〜 (2018年8月4日 10時) (レス) id: eb2a52b976 (このIDを非表示/違反報告)
さかな(プロフ) - 結花さん» 読んでいただき感謝です^ ^のちのちグクミンかきたいっす!またお立ち寄りください (2018年8月4日 9時) (レス) id: 3c26e37d97 (このIDを非表示/違反報告)
結花(プロフ) - のってくれてありがとうですw更新ファイティンです! (2018年8月4日 9時) (レス) id: eb2a52b976 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肴 | 作成日時:2018年7月26日 20時