神速の鴉 ページ39
「A！！」
「おいっ！Aに触るな！！」
塔子が不動に怒鳴った。
「うるせぇなぁ……仕方ねぇだろ。影山センセーはこいつと話したがってるんだからよ」
「てめぇ！！いい加減に……」
「やめな染岡。……分かったよ。あいつと話す」
不動に掴みかかろうとした染岡を、意外にもAが冷静に止め、不動に向けてそう言った。
「っ……！けどAちゃん！！」
「大丈夫。私これでも警察だよ？何かされそうになったら返り討ちにしてやるから」
そう秋に言いながら軽く微笑んだA。
まるで心配するなと言っているような表情は、余計皆を不安にさせた。
「ほら、行くぞ」
「……自分で歩ける」
そしてAは不動の手を振りほどき、そのまま彼に続いて階段を上っていった。
「Aちゃん……」
Aの後ろ姿を心配そうに見る秋。
「けど……まさかAがFBIだったなんてな……」
「驚いたでヤンス……」
土門と栗松が言った。
「そういえば……影山の言っていた【神速の鴉】って結局何だったのかしら？」
夏未が思い出したように言った。
「あっそれなんですけど……」
その時、春奈がPCを操作しながら話に入る。
「FBIの実力者の中には、何人か通り名を持っている人もいるみたいで、その1人として【神速の鴉】もいるそうなんです」
「本当だ……【剛力の獅子】、【奇才の狐】……これ全部一般の人達が付けたのね」
PCを覗き込みながら言う秋。
「それで【神速の鴉】なんですけど……FBIの人で、一般人では目で追えないほど1つ1つの動作が素早いらしいんです。それから……髪も服も靴も真っ黒でその姿がまるで鴉だと……」
「……完全にAさんのことみたいね」
その言葉に、全員が黒いコート姿のAを思い出す。
「……マジかよ……」
染岡が呟く。
「……一之瀬も知らなかったのか？」
「……あぁ……」
土門の問いにそう返した一之瀬。
『私にはやらなきゃいけないことがある』
(A……)
前に聞いた言葉。
FBIとしての仕事が彼女のやらなきゃいけないことだったのだろうか。
……だからサッカーを諦めたのだろうか。
(……俺は何も分かっていなかった)
他の皆よりは分かっていたつもりだったのに……彼女のことを何も知らなかった。
そしてその悔しさの中で思った。
(A……)
彼女のことをちゃんと知りたい、と。
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まとい - しかもいくらおにぎりが好物なんて！私と同じで嬉しかったです！無理しない程度に頑張ってください！応援してます！ (2017年8月27日 0時) (
レス) id: 9c8ce1c873 (このIDを非表示/違反報告)
まとい - 最初読んだ瞬間から、なんという神作ではないか！と思いました。とても面白いです！また、新たな更新楽しみにしています！ (2017年8月27日 0時) (レス) id: 9c8ce1c873 (このIDを非表示/違反報告)
カルナ→りぃ様 - そんな素晴らしいことを言っていただいて、感激で泣きそうです！！ありがとうございます！！こんな駄作ですが、さらに面白くなるよう頑張ります！！ (2016年4月7日 8時) (レス) id: 2fc0216268 (このIDを非表示/違反報告)
カルナ→どS様！沖田様サイコ〜様 - とても嬉しいです！！どうかよろしくお願いします！！ (2016年4月7日 8時) (レス) id: 2fc0216268 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - カルナさん» 新しい更新がされていてすぐに読んでしまいました！やっぱり、とても面白いです！１話の更新でも次どんな展開になるたのしみです。またこ新たな更新楽しみにしています♪ (2016年4月6日 2時) (レス) id: 7429e82d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カルナ | 作成日時：2015年12月20日 8時
