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in side
思ったより長い階段を登りきると、目に入ってきたのは東屋だった。
訳が分からず呆然としていると、再度引っ張られて、ベンチに座るように誘導される。
大人しく従うと、たかぎも隣に腰を下ろしてきた。
��｢…俺さ、伊野尾くんのおかげで、毎日本当に楽しいんだ｣
やっと口を開いたたかぎは、遠くを眺めて、まるで独り言のように言葉を発する。
なんとなく、
喋ったらいけない気がして、口を噤んだ。
��｢気付いたら俺の中で、伊野尾くんの存在が何よりも大きくなっててさ。…何気ない日でも君がいるだけで、輝いて見えるんだよ｣
胸の奥がジ…ンと熱くなる感覚に襲われる。
……無性に泣きたくなるのはなんでだろう？
相変わらず目は合わないまま、知らなかったでしょ？って言葉が問いかけられる。
何か、言わなきゃ
なんだよー照れるじゃんかーって、
いつもみたいに、笑って…
伊｢…大袈裟、だよ｣
やっと絞り出した声は、
隣のたかぎにすら届かないんじゃないかってくらい掠れてしまった。
でも、
��｢そんな事ない、本気なんだ。こんな事、伊野尾くんだから言うんだよ｣
首を横に振りながらそう言って、たかぎの手が俺の手を優しく包み込む
��｢どこにいても誰といても、頭の中は伊野尾くんばかりでさ。それで、思うんだ。伊野尾くんが笑う時も泣く時も、その瞳に映るのは俺がいいって｣
やっと、たかぎの目が俺を捕える。
その目はとても優しくて、でも、とても熱くて
ドクン、と心臓が波打った。
ーーー……顔が、熱い
今きっと俺、顔が赤くなってる
目を逸らしたいけど、
不意に伸びてきた手が俺を逃がしてくれない
��｢…伊野尾くんの事が好きです。出会って何年も経ってるから遅過ぎる始まりになっちゃったけど、何年先も何百年先も、ずっと、伊野尾くんを愛し続けるよ｣
さっきから痛いくらいに伝わってくるたかぎの気持ちが、はっきりと口に出されて俺に届いてくる。
なんて応えるか、なんて考える間もなく
口が勝手に言葉を紡いだ。
伊｢……お、れも、すき…｣
自分の言葉にびっくりしてると、たかぎも目を丸くさせて、
でも次の瞬間には柔らかい笑顔を覗かせながら
��｢俺たちは、結ばれる運命だったんだよ｣
そう言って、ゆっくりとたかぎの顔が近づいてくる
伊｢ロマンチストめ…、んぅ……｣
恥ずかしくて思わず動く口は、たかぎの口で塞がれた
ーーーfin
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作者名：にゃんけんけい | 作成日時：2024年1月28日 10時
