あなたを想う風(ym×in) (ページ25)

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知岡中｢わ…っ！？｣

息を大きく吸い込んで、3人の背中目掛けて飛び込んだ

肩を組む様に、グッと力強く、おしくらまんじゅうみたいにぎゅうぎゅうと俺の方に引き寄せる

3人とも驚き過ぎて声が出ていない様で、どうした？と言うような目で見られた

山｢大丈夫……、とか無責任な事は言えねぇけど、俺達がパニックになってちゃダメだろ？…伊野尾ちゃんが、待ってる｣

無理くりな笑顔の自覚はあるけど、精一杯笑って見せる

そしたら、3人の表情が少し和らいだ気がした

うん、と頷いたのとほぼ同時に、目の前に車が停車して保健医が顔を覗かせる

後部座席に3人、助手席に俺が乗り込んで、シートベルト確認後、車が発進した

膝の上に置いた握り拳に、力が入る

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｢廊下は走らないでください！｣

病院に着くなり、伊野尾ちゃんの事を受け付けの人に聞いてすぐそちらに向かう

背中にテンプレートな言葉を投げ掛けられるが、今はそれどころじゃない

心の中で謝りながら、伊野尾ちゃんのところへ向かうスピードは上がる一方だった

治療室と書かれたプレートがぶら下がっている部屋の前に置いてある長椅子に人影が4つ、

こちらに気付いて、揺らりと動いた

薮｢…山田達か、｣

山｢…っ｣

薮ちゃんの覇気がない声に、全てが伝わってくる

多分、もう……

ガラッという音がその場に響いて、全員勢いよくそちらの方に駆け付ける

固く閉じられていたドアが開いた

緑色の服を身にまとった人が先に出てきて、俺達の方に真っ直ぐ向かってくる

｢脳のCTを撮りましたが、前回同様変わりはありませんでした。特に怪我も見当たらなかったのですぐに病室へ移動します。暫くしたら目を覚ますと思いますが……覚悟は、しておいて下さい｣

｢っ、はい｣

誰かの返事が遠くで聞こえた

恐らく薮ちゃんか光くん辺りだろうけど、確認するほどの余裕はこれっぽちも残ってない

看護師さん達の手により伊野尾ちゃんが病室へ運ばれるのを、少し離れたところから着いて行く

顔が見えそうで見えなくて、見たいのか見たくないのか、と聞かれれば曖昧な答えしか持ってないけど

622号室と表記されている個室に入っていき、視界に捉えた伊野尾ちゃんの顔は穏やかでただ眠ってるみたいだった

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