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ーーーキーンコーンカーンコーン
授業を終わらせるチャイムに驚いたと同時に、伊野尾ちゃんの体が俺からゆっくりと離れた
『…ごめん。服、濡らしちゃった』
山「あ、いや大丈夫だよ。体操服だし」
というか、服が濡れた事よりも体が離れてしまった事の方が俺的には残念…なんて
恋心を自覚した途端、邪な下心がむくむくと膨らんでいくのを感じる
『知念達にも早く言わなきゃね。…怖い、な』
山「俺が言っておくよ、って言いたいけど…伊野尾ちゃんは自分で言いたいんでしょ?」
『…うん、それが俺なりの敬意みたいなもんだから』
伊野尾ちゃんらしいな…
あいつらがこの事を知ったら、3人とも……特に知念は泣くだろう
でも、
時間はかかるかもしれないけどちゃんと受け止めてくれる
伊野尾ちゃんの力になってくれるはずだ
『今度こそ教室戻りな?俺、今日1日は薮に保健室にいろって言われてるからさ』
山「…どうして、ってだけ聞いてもいい?」
『記憶がリセットされる時、意識が遠のくんだ。それで前に1回、授業中に倒れた事があって。それからは予兆が出たら保健室行けって言われてるの』
山「……ありがとう、わかった。俺、戻るね…」
本当は嫌だけど
伊野尾ちゃんと離れたくなんかないけど
エゴを押し付ける様なことは絶対にしたくない
だけどーーー……
山「その代わり、1つだけ約束して」
『ふぁ?なに?』
山「…1人で泣かないで。肩だろうが胸だろうが、いうでも、いくらでも貸すから」
真っ赤になった目尻を指でなぞって、それだけ告げる
伊野尾ちゃんの目が一瞬真ん丸になって、その次には綺麗な笑顔で頷いてくれた
『ふふっ、どうせなら男の厚い胸より女の子の柔らかい胸がいいんだけどね』
山「そんな事言わないでよ…俺で我慢して」
『まあ、悪くない…かも?』
山「ちょっと、なんで疑問形なの?」
軽くショックを受けて、間髪入れずに数回の言葉のやり取りをしていくうちに空気が和らぐ
なんだか可笑しくなって吹き出すと、伊野尾ちゃんも手を口に持っていってくふくふと笑いだした
あ、この笑顔好き
直感でそう思った
どこか作り笑いみたいな笑顔だったり、色んなことを抱え込んだ窮屈そうな笑顔より
自然体っぽくて、この笑顔を作ったのは自分だという事に優越感が生まれる
どうしよう
このまま、『好き』って言ってしまいそう……
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作者名:にゃんけんけい | 作成日時:2019年4月18日 10時