青い猫の気の向くままに(×in)

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それから幾度となく、ゆーとと伊野尾ちゃんを目で追う様になった。


観察してて気づいたんだけど、元々ボディタッチが激しいゆーとが、伊野尾ちゃんに対してだけ遠慮がちに触れるんだ。

まるで宝物を、繊細なガラス細工を扱うように。


伊野尾ちゃんを熱い眼差しで見つめて、仲良くじゃれ合う大ちゃんとか雄也、知 念にヤキモチ妬いて…


片思いが1番楽しいって言うけど、ホントかもね。

だって好きな人の言動に一喜一憂して、楽しそうなんだもん。


……羨ましい。


あれ、まただ。
何が羨ましいんだろ？

ゆーとを…正確には伊野尾ちゃんに恋するゆーとを見て、不意に良いなって憧れる自分がいる。
そして2人を見てたら胸焼けをするようになった。


あそこまで好きな人がいるってことが羨ましいのかな？
前の彼女と別れて2年経つし、そろそろ恋愛したいのかも。

でも、なんか…違う気が



in｢山田ー？｣

ym｢わっ！伊野尾ちゃん？！｣

in｢はい伊野尾でーす。考え事中悪いけど、次俺達だってよ？｣


ひょこっと俺の顔をのぞき込んできた伊野尾ちゃんに驚いて体が仰け反る。

そんなの構わず伊野尾ちゃんはいつもの調子でテキトーに返して、1人歩き出した。

その後を慌てて追いかける。


そうだ、今雑誌の撮影で…俺は伊野尾ちゃんとペアだったんだ。


楽屋を出る直前、視線を感じてそれがゆーとのものだと分かったけど振り向く事が出来なかった。

俺にですら嫉妬してる彼に一言言えば気も休まるって分かってるのに…





｢いいよーいいよー！2人ともいい感じ！｣


なんとなくもやっとしたまま撮影が開始した。
最初は自由にやってと言われ、伊野尾ちゃんの肩に手を回してポーズをとる。

腹立たしい事に伊野尾ちゃんの方が身長高いんだけど、肩を抱くのは基本俺。

だって伊野尾ちゃん頼りないんだよ、顔も女みたいだしさ。逆になるのはなんとなく俺のプライドが許さないね。



｢次は座って撮ろう！それで山田くんの膝の上に伊野尾くん乗って！お姫様抱っこしよう｣

ym｢はっ？｣

in｢おい嫌がるなよ｣


俺たちの関係ではありえない要望をされ、思わず声を出したら隣の伊野尾ちゃんがケタケタ笑いながら突っ込んできた。


ym｢いやっ嫌なわけじゃないよ！むしろ…｣

in｢ん？｣

｢時間押してるから！ほら早くポーズとってー！｣

in｢ふぁ？あ、はーい！ほら山ちゃん座って？｣

ym｢あ、あぁ…うん｣


大人しくその場に腰を下ろす。




俺、今何を言おうとした…？

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