青い猫の仰せのままに(×in)

君を独り占めしたいんだ(tk×in) ページ34

tk side
※リアル設定
ライブ見ての妄想。


in『俺の曲、ライブでする時は誰かとやりたいなぁ〜』


伊野尾くんはことある事にそう言っていた。
雑誌でソロの紹介する時とか、必ずといっていいほど。


その言葉を聞いて、全員。
特に有岡くんと知 念は絶対一緒にやりたいって立候補をしてたっけな。




楽屋で誰とやるか迷ってる伊野尾くんを見つけて、声をかけるために隣に腰を下ろす。

彼のソロも気になるところだけど…今回は別の要望。


tk｢伊野尾くん｣

in｢たかぎ？なにー？｣

tk｢俺のソロでさ、ピアノ弾いてよ｣

in｢…俺が？｣

tk｢うん、俺の曲って結構しっとりしてるっていうかさ、夢を歌詞にしてるじゃん？ピアノでその幻想的なのを演出できないかなって思って｣


…なんて建て前だけどね。

ただ、俺のためだけに弾いてほしいだけ。なんて言ったらメンバーにもファンの子にも怒られちゃうかな。

ポーカーフェイスを崩さないように気をつけて、彼の反応を伺う。

彼が女王蜂の演奏に苦戦してるのは、分かってる。

努力してるのを見られたくない彼が、暇さえあれば机をピアノに見立てて指を動かしてるんだから。

ゆうとがついビートを刻むのとは違うそれは、彼が頑張り屋な証拠みたいなもので。

そんな彼にもう1曲増やそうなんて、彼から見た俺は鬼なのかもしれない。


でも、ごめん。これだけは譲りたくないんだ。

伊野尾くんのソロは伊野尾くんのもの。
誰を選ぶかなんて分かんない。

だけど俺の曲を2人のものにするくらい、欲深くなってもいいでしょう？

だからお願い。いいって言って…


刹那に願いながら彼の横顔を見ると、目は合わないまま手を顎に置いて考えている。

きっとたった1分程度だろうけど、何時間にも感じられる沈黙を破ったのは伊野尾くんだった。



in｢んーなるほどねー…俺、要望通り出来るかわかんねぇけど…うん、いーよー｣

tk｢…っ！よかった、ありがとう！｣

in｢ふはったかぎ、喜び過ぎー｣


思わず立ち上がる俺を、伊野尾くんは上目遣いで見て馬鹿にしたように笑った。


だってさ、仕方ないよ。
断れるかもって、ネガティブな方にしか気持ちいってなかったんだから。

そんな事本人に言える訳も無く、『別にいいでしょ！』なんて少しむくれて見せた。

傍から見たらこの行動ってオネェに入るのかな、なんて頭に過ぎる。


in｢おいたかぎー拗ねんなよ！｣


拗ねたと勘違いしてか、伊野尾くんはケラケラ楽しそうに笑った。

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