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1話 ページ3











………最近見る。



毎晩毎晩、何度も何度も、同じような夢。

小さな男の子に手招きされて、灯篭をともす。

終わった瞬間、目は覚めてしまう。




一体なんの夢だか知らないが、鬱陶しいったらありゃしない。



私、市川椿にとって夢やまやかしなんてモノは、ただの幻想でしかない。

脳が覚えたものを脚色して出てきたのが夢。
それを毎晩見るのが続いて、今にも吐きそうなのだが。



「……吐いてる暇はないな」



今は朝。


布団から身を起こし窓を開くと、眩しい朝日が目に突き刺さる。
刺さってないよ、比喩だからね。

この朝日を見てから、私の一日は始まる。



「早く店を開店させなくちゃ、ね」



江戸の騒がしい街中にひっそり佇む茶屋、『柊』が私の家。

心配性でちょっと過保護な父と私の二人暮らし。
母は私が幼い時に他界してしまったけれど、あんまりにも昔過ぎて覚えてすらいない。

だから私は自分のことも家事もなんでも出来る。

そんな私のことを父は・・・


「たまにはお父さんに頼ってもいいんだよ?」

「毎朝物陰からひっそりそう呟くの止めてもらえるかな父上」


茶屋用の着物に着替え、身支度を済ませた後。
家の廊下の隅から父上が呟く。

これもこれで鬱陶しい。


ま、毎朝のことだから慣れたところもあるけど。


「そんなことしてるんだったら早く店内点検してきてよ」


あ、父上泣いちゃった。

全く……忍びのくせに情がありすぎるんだから…父上は。
もう引退した身とはいえ、いつ敵が来るかわからないのに。


そんな日常。


今日も今日とて変わらぬ江戸。
こういうところは好きだ。

――――――――・・・『依頼』が来なければ、ね・・・。


「椿、店内いいぞ」


店を点検していた父が欠伸をしながら戻ってくる。
父はもう五十歳以上だ。朝が辛いのも仕方のないことなのだろう。


「分かった。看板上げに行ってくる」


外に出ると感じる、冬の冷たい空気。
しまっていた看板を掛け、今日もいつも通り開店。


「こんな日が、いつまでも続けばいいのに」



そんな願い、叶うのなら口に出さなくてもいいんだけどね。






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いかせん - 闇さんさん» お〜!やっほ〜!(*´▽`*) (2016年12月22日 6時) (レス) id: b197e68d7d (このIDを非表示/違反報告)
闇さん(プロフ) - 続き続き!…あ、やっほ〜! (2016年12月21日 20時) (レス) id: 82d2343db1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まいくろ | 作成日時:2016年12月20日 22時

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