10’フランボワーズマカロン ページ10
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恐る恐るインターホンに伸ばした指先を力無く下ろす
...何、してんだろ
急に押し掛けたって迷惑なだけなのに
どのみち車は無いからまだ帰ってないんだろうし、思わず玄関先でしゃがむ
__もうやだ
「A!?どうした!!?」
すぐそこで私の名を呼ぶ声
腕の中に埋めていた顔を上げれば、車窓から顔を出した__松田さん
姿を捉えた瞬間込み上げるものがあって顔を歪める
車庫に車を止めた松田さんは小走りで駆け寄ってきた
「外じゃさみぃから、取り合えず中入るか」
優しく立ち上がらせられると家の中へ促される
**
「はい、コーヒー。砂糖はそこあるから。あんなとこ居て寒かっただろ」
『すみません、わざわざ...』
松田さんは向かい合わせでは無く隣に座った
正直顔合わせて話す自信無かったから小さな気遣いが嬉しくもあり申し訳なくもあった
それからというもの、最近の映画だったり芸能人のワイドショーだったりと
私から何かを言わない限りは絶対核心に触れてこない
__そんな松田さんの優しさに甘えてる自分がいる
『松田さん。単刀直入に言いますね。
__兄に、告白しました』
盛り上がっていた話でも一度も合わなかった視線が今度こそしっかり繋がる
でも、と言葉を濁らせた
『やっぱり、ダメでした』
無理に笑おうと口角を上げるのに意思とは違った感情が溢れる
『...っ、自分達は兄妹だろって。そんなの知ってるって、どうしても好きでいる事が苦しい...!』
ここで泣いたらうざったいだけなのに決壊した涙は情緒を不安定にさせる
松田さんが分かりやすく表情を崩した
『兄妹、なんて使って回りくどい言い方して欲しくなかった...!受け止めた上で断って欲しかった!!』
ボロボロ涙を溢しながら、まるで駄々を捏ねる小さい子供のよう
感情だけで赤裸々と抱えていたものを吐き出す私はなんて身勝手で自己中心なのだろう
兄からの返事が欲しかっただなんて
__そんな立場にいない事など、身に染みて実感してる筈なのに
『好きだと思う度、切り離して落としてきました
__でもいつか、兄へのこの想いも忘れる事が出来る』
ちゃんと笑えてないのを重々承知の上で松田さんに笑いかける、その瞬間
松田さんが私を引き寄せると強く抱き締めた
溢れてくる涙よりも抱き締められてる事に意識を持っていかれる
「A」
耳元でくすぐる低い声
背中に回る手に力が込められた
「好きだ」
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リンドウ - 月下美人さん» ここまで読んで下さりありがとうございます!何とか無事にハッピーエンドで終える事が出来ました!笑 ありがとうございました!! (2019年6月6日 7時) (レス) id: 8527558b0b (このIDを非表示/違反報告)
リンドウ - あめ、さん» ありがとうございますー!!こじれた恋愛ついに完結致しました!おコメントも励みになりました、本当にありがとうございました! (2019年6月6日 7時) (レス) id: 8527558b0b (このIDを非表示/違反報告)
月下美人(プロフ) - ハッピーエンド完結おめでとうございます&お疲れ様です!! (2019年6月6日 1時) (レス) id: 9aa06677e2 (このIDを非表示/違反報告)
あめ、(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいてました。ついに結婚……!これからもどうかお幸せに、ですね!お疲れ様でした〜。 (2019年6月6日 1時) (レス) id: 112aeeb1e8 (このIDを非表示/違反報告)
リンドウ - コーヒー牛乳さん» 本当ですか!ありがとうございます!!この作品で降谷さんと松田さんをもっと好きになって頂けるとは...!!喜びの極みです笑 これからも更新頑張ります (2019年5月19日 7時) (レス) id: 8527558b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年4月2日 5時