好きです。だから。さようなら。2【降谷零】

9’ウィークエンドシトロン ページ9

断言された言葉に固まる思考、一瞬で何も考えられなくなった脳内を呼び戻す



好きなんだろ、って何で？

知ったように言わないで

＿＿私がどんな想いでいるかも知らないのに







『...私はいつまで妹でいればいいの？』

溢した言葉、地面に吸い込まれていく

一度走り出した感情は止まらない

伝わらないもどかしさ

伝えてはいけない葛藤

私がずっと好きなのは＿＿







『...＿＿お兄ちゃんが、好きなの』





静まりかえる空間


言って、しまった

言葉にしてはいけない禁句

兄の腕にしがみついたままスッと血の気が引く





その時、兄の手が私の頬に触れて上を向かされた





「...俺も、Aの事好きだよ」

『...え、』



好きって、お兄ちゃんが、私を？

嘘、何で...







「大切な妹なんだから当たり前だろ？」

頬から兄の手が離れる

何だ、そういう事...




＿＿分かってるよ、分かってるのに、そうじゃないと首を振る

兄じゃ、駄目なの

＿＿妹じゃ、嫌なの




『お兄ちゃん、違うの。私はっ...』

「A」

静かにヒーターが稼働する中、静かに制される



「俺達は兄妹なんだ。＿＿そうだろ？」


兄なのに、妹なのに。こんな感情抱くのおかしいって

知ってるよ。理解した上で好きだったんだよ




しがみついた腕から手を離し、一歩下がった






『そう、だよ。家族として好きなの。日頃の感謝の意味だから、深く考えないで。ね？』

震える声を必死に押しとどめ、嘘を捲し立てる

＿＿終わったなぁ




『体、完全には回復してなさそうだから、少し寝てくるね』

「...分かった。何かあったら言えよ」

『うん』


無理矢理笑顔を取り繕ってその場を後にし、自分の部屋に閉じ籠る

私、フラれたんだよね？

＿＿終わったんだよね









果実が朽ちていく

＿＿樹が根元から剥がれていく


そんな感覚がして、床に涙が溢れ落ちた

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