信じて… (ページ6)

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桃side ページ6

《次は、恵比寿、恵比寿です。降り口は右側...》

最初は余裕があった車内。
でも、やはりここも帰宅ラッシュからは逃れられないみたいで、乗り込んで15分ほどで、息もしづらく感じるほどぎゅうぎゅうの電車になった。

(あと何駅だっけ…)

俺は次々に入って来る人という人に押され、気がつけば掴めるところが自分の手の届くところにない中途半端なところに居た。

こうなっちゃうと、もう鍛え上げた体幹を生かして人の波に呑まれないように踏ん張るしかない。

それに加え、人が密集しちゃったから、汗ダラダラかいちゃうほど暑いし、身動きも取りにくい。普段、車で送迎してもらっているありがたさをヒシヒシと感じながら、気を紛らわせるためにさっきとは違うゲームを起動した。

最寄り駅まであと少し。
それまで我慢我慢っと。

ガタンゴトンガタンゴトン

理想的な電車のリズムとイヤフォンからの嫁たちの声が戦っている。

無論、俺が耳を傾けてるのは嫁の声だけれど最寄り駅に着々と近づいていることには多少気を配っていた。

乗り越しちゃったらめんどくさいんだもん。

今思えば、この時少しでも危機感というものをもっておくべきだったんだと思う。

いつもとは違う状況に自分がいるんだってこと。