信じて… (ページ32)

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赤side ページ32

「佐久間を、お願いします」

朝8時。

歩くことすら支えなしでは難しい佐久間をマネージャーに託し送り出す玄関には、俺しかいなかった。

バタンと扉が閉まる音がするまで頭を下げ続け、頭を上げると、視界に入るのは3足の靴だけ。

俺と、阿部と、目黒の。

黒「だてさん…」
赤「行ったよ、佐久間」

佐久間が倒れてしまい、俺が彼を看病している間に、阿部と目黒が佐久間を庇い、相反する照、翔太、そしてふっかと、喧嘩になって、照たちは家を出て行った、らしい。

らしい、としか言えないのは、俺がその場にいなかったから…

阿部がキレてるのは見た。でも、何よりまず佐久間を少しでも楽にしてあげたくて、喧騒の中じゃ佐久間も落ち着かないだろうと、寝室に連れ込んだ。

体温計を差し込めば、39℃を超えてて、汗を拭き、ふっかの服を拝借して着替えさせて、頭に濡れタオルを置いて…

そんなことをしていたら、バンッと家に響いた大きな音。

何事かと思って駆けつければ、リビングにはもう、3人の姿がなく、さっきの音が玄関の扉を締めた音だとやっと気がついた…

そして、事情を聞こうにも、酷い過呼吸を起こした阿部に、それを見てパニックになる目黒。とても話を聞ける状態ではなく、阿部が体力の限界で気を失ってからやっと、目黒が事の詳細を教えてくれた。

佐久間が倒れるまで責めた3人のことが許せなくて、阿部と目黒が3人を責め立てたんだって。
阿部の怒りもわかる。でも、ふっかたちが意味もなくあんなに怒るとも思えない。
お互いの思いが、あのヒートアップした状態では上手く話せず、喧嘩別れしたんだろうってことはなんとなく想像できた。

赤「目黒。阿部は疲れて寝てるだけ。大丈夫だから、少し休んで。このままじゃ、体がもたないよ。」

目黒の乱れた長い前髪に隠れた目の下には、真っ黒な隈。目黒たちが加わってから…いいや、これまでのSnowManの歴史の中でも類を見ない最悪の事態。現場にいた中で一番若い目黒が、気疲れしないわけも無い。

黒「おれは、大丈夫なんで」
赤「横になるだけで違うから。な？」

阿部の眠るベッドの傍らに布団を敷いて、そこに目黒を無理矢理横たえらせると、諦めたのか、視界を遮るように、目に腕を当てて、俺から顔を隠した。

赤「ふぅ…かたづけないと…」

窓に打ち付ける雨の音が、
散らかったリビングに鮮明に響いた。