信じて… (ページ29)

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赤side ページ29

ふっかの言葉に、部屋の空気が凍りついた。

目の端で部屋を見回せば、
さっきまで憤っていた阿部は、ペタンと両膝両手を床につき、項垂れていた。

静かな部屋に、スンスンと微かに鼻をすする音が聞こえ、視線をあげれば、翔太の顔には幾筋もの涙。

翔太だって、知りたくなかったこと。考えたくなかったこと。今それを目の当たりにして、辛くなるのも無理はない。

自分が見つけた動画で、メンバーの人生が変わるかも…そんな恐怖を味わうなんて、思ってもみなかっただろうから。そして、それを、自分の口からみんなに打ち明ける時、翔太はどんな気持ちだったことか…

誤解されやすいけれど、メンバー思いで、曲がったことはできない子だから、翔太も1人で葛藤したんだと思う。

そんな翔太に、俺は保冷剤でほっぺたを冷やしてあげながら、ゆっくりと目尻から流れる涙をそっと指で拭うことしか出来ないけれど…翔太の行動が間違ってないよって、今は言葉にできないこの気持ちは、伝わるのだろうか…

翔太の鼻をすする音も収まってきた頃、落ち着いた、それでいて芯の通った声が耳に届いた。

黒「…まだ、佐久間くんが認めたわけじゃないし…俺らが諦めちゃダメだと思う…」

黄「諦めるとか、もう、そういう次元の話じゃないんだよ…」

いつもはグループの背中を押す目黒の言葉も、今は、逆効果。

目黒の言葉を真っ向から否定する照の声は、低く冷たくて…それでも目黒はめげずに言葉を繋いだ。

黒「でもさ、ちゃんと佐久間くんから聞こうよ…何があったのか…本当はどうなのかをさ…」

黄「佐久間に聞いたとこで、あの動画は説明つかねぇだろ…」

黒「…あの動画だって、本当かわかんないじゃん」

黄「そう言い切れる証拠があんのかよ…」

静かな二人の会話は、ここにいるみんなにきっと聞こえてて…でも、どちらの肯定もできなくて…二人の口調もどんどん強くなっていく…

答えの見えない言い争いに、部屋の空気が一段と重くなる。
その時だった。

ガチャリとゆっくり開いたドア。

そのドアにもたれるようにして、
ほっぺたを真っ赤に染めた佐久間が立っていた。