黒side ページ21
黄「目黒、鍵頼んだ」
黒「了解っす!あべちゃん、行くよ!」
駐車場に車を停めるとすぐに後部座席に来てくれた岩本くんは、ブランケットごと佐久間くんを背中に乗せて走り出した。俺は、阿部ちゃんの手を引いて、その背中を必死に追った。
赤「おかえり。」
黄「帰って早々ごめん、佐久間を寝かせてやりたいんだけど」
赤「…!!佐久間、ベッドに寝かせてあげて。ふっかなら、起きてリビングいるから大丈夫。使えるもの持っていくね」
玄関の扉を開けると、舘さんが待っててくれて、直ぐに協力してくれた。
緑「さくま、さくまぁ…」
黒「あべちゃん、佐久間くん疲れちゃっただけだよ。休ませてあげよう」
ベッドに横にすると、佐久間くんは、元々小さな体をさらに縮こませた。寒いのか、まだ熱が上がるのか、季節外れの毛布を掛けてもプルプルと震えが止まらない。心配そうに寄り添う阿部ちゃんの声も、今は届かないみたい。反応がないことに阿部ちゃんがまた不安を膨らませるから、悪循環。
赤「さくま〜、ちょっとごめんね。熱測らせて」
黄「水、少しでいいから飲めるか?」
佐久間くんは岩本くんと舘さんにされるがまま。
目は辛うじてぼんやりと開いているけれど、岩本くんに支えられても完全に脱力してしまっていて、口元に添えられたペットボトルの水は、飲み込まれることなくタラタラと口の端を伝って布団を濡らしていった。
ピピピ、という電子音に、体温計のディスプレイを覗き込めば、38.7℃という高い数字が表示されていて、思わず息を呑んだ。
緑「...ねぇ、ひかる…さくましんどいよ…びょういん、つれていかなきゃ…」
黄「阿部。夜も遅いし、病院はやめておこう。佐久間、疲れただけだと思うから、今はゆっくり休ませよう。」
病院に連れていくべきかとも思ったけれど、佐久間くんのタイムリミットまで猶予はないのも事実で。
緑「でもッ…」
不安のせいか、どこか口が子どもっぽくなってる阿部ちゃんは、岩本くんの説得にも納得がいかない様子だったけれど、
黒「佐久間くん、おやすみ。」
結局、独り佐久間くんを寝室に残して、
マネ「今後のことを考えよう」
マネージャー同席の元、俺らは膝を突合せてこれからのことを話し合うことにした。
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作者名:舞雪 | 作成日時:2023年5月5日 0時