信じて… (ページ20)

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黒side ページ20

佐久間くんが、また警察署に行かないといけない。

正直、警察から帰って来れるって聞いてたから、もう大丈夫なんだ、何も無かったんだって、思い込んでた。

でも、まだ…まだ、佐久間くんは苦しまないといけないんだって…単純に悔しかった。佐久間くんがそんなことするはずないのに、信じてもらえないんだなって…

難しい手続きは岩本くんとマネージャーさんがしてくれて、帰るよっていう岩本くんの声に顔を上げた時、

俺、気づいちゃったんだ。
岩本くんの瞳が揺れてることに…

俺がこんなに気持ちぐちゃぐちゃなんだから、佐久間くんとの付き合いがより長い岩本くんが動揺しても当然…

だから、気持ちを落ち着かせる時間が欲しいかなって思って提案した運転交代は、受け入れてはもらえなかった。

それならばと、あべちゃんと佐久間くんを徹底的に見守ろうって決めて、車に乗り込んだ。

岩本くんの運転は、珍しく少し荒かった。でもブランケットの中の2人はその事に全く気づいてないみたいで、俺はひとり、心の中で無事にふっかさん家に辿り着けることを密かに祈った。

だけど、その祈りは通じなかった。

緑「さくま？」
黒「あべちゃん？どうしたの？」

2人してブランケットに包まっていたあべちゃんの不安そうな声に佐久間くんの顔を覗き込むと、ぐったりと目を閉じていて、触れた身体は酷く熱い。さっきまでも元気はなかったけど、こんなに熱くはなかったのに…

黒「岩本くん、佐久間くん、ヤバいかも」
黄「えっ？」
黒「多分、熱出てる」
緑「さくま、さくま？」

あべちゃんの不安そうな声にも無反応の佐久間くん。

岩本くんは法定速度ギリギリまでスピードを上げて車を走らせてくれた。