信じて… (ページ18)

今日:5 hit、昨日:46 hit、合計:46,948 hit

黄side ページ18

警察官がいなくなった俺らだけの空間。

啜り泣く阿部と、呆然とした佐久間と、2人の傍で困り顔で立ち尽くす目黒。いつもなら、気軽に声を掛け合えるメンバーなのに、今はどうフォローするのが正解なのかも分からない…

佐久間に優しく接するべき？それとも、厳しく接するべき…？問い詰めていいものなのか…話すのを待つべきか…？メンバーにはどう話そう…朝が来れば、また佐久間が居なくなる…その間にどうにかしないと…

ﾏﾈ「岩本くん、これからのことも含めて、急いで対応を協議したい。時間に余裕もあまり無いし、このまま僕もついて行っていいかな。」

あれこれ考えをまとめるより先に、神妙な顔付きのマネージャーのもっともな意見を肯定するほかなかった。

頭の中の整理がつかないまま、

黄「………みんな帰ろ。」

俺は、リーダーとしての自分を演じることで精一杯になっていた。

黒「…うん。あべちゃん、俺、佐久間くん支えるから。佐久間くんの荷物もってくれる？」

目黒が率先して動いてくれて、しゃがみこんで啜り泣く阿部と、俯いたままの佐久間、2人まとめて支えてくれた。

周りをよく見て気づく目黒だから、俺のことも気にかけて、運転を変わろうかと言ってくれたけど、何もせずに座ってるだけなんて、今は耐えられない気がして断った。

運転席に乗り込み、バックミラーを覗けば、後部座席では、ピッタリと寄り添うあべさくに、翔太が持たせてくれたブランケットが掛けられるところだった。

黒「佐久間くん、腕冷たいね」

暑い日中に合わせて着たであろう、佐久間の嫁Tシャツでは少し肌寒い夏の夜。目黒が触れた細い腕は、どうやらすっかり冷えてしまってたようで、それを聞いた阿部が、ブランケットの上から佐久間の腕を摩る。

そんな温かな、佐久間を護るような光景に目頭が熱くなった。それを誤魔化すように、アクセルを踏み、車を走らせた。

黄「……ﾁｯ」

警察署の門を出ると同時に、また無数のフラッシュが目を眩ませる。

夜が明ければ、今撮られたであろう写真や動画が世間を騒がせるんだろうな…

それなら朝なんか来なければいいのに…そう考えるほどに、俺も追い詰められ始めてたんだと気づくのはもう少し先の話。