黄side ページ17
警察署の中は、シンと静まり返っていて、俺たちの足音だけが妙に響く。それがなんだか不快で、マネージャーのあとを早足で進んだ。
案内されたのは、少し奥まったところにあった、簡単な仕切りで区切られたスペース。数人の警察官が仕事をしている部屋の一画に、佐久間はいた。
床を見つめ、いつもの元気さを微塵も感じさせない佐久間。俺たちの存在にも気づいていないのか、マネージャーの声にも顔をあげなかった。
そんな佐久間を逃がさんぞと言わんばかりに、佐久間の両脇とスペースの入口には厳しい顔つきの警察官が立っていた。
緑「佐久間っ!!!」
黒「ちょっと、あべちゃんッ」
そんな警察官を意に介することもなく、すかさず阿部が佐久間に飛びついたけど、それでも佐久間は反応を示さなかった。
警「佐久間さんの身元引受人の方ですか?」
黄「…え、あ、はい。」
いつもと違いすぎる佐久間の様子に気を取られていた俺だったけど、警察官に声をかけられ、我に返った。
ていうか、身元引受人って…?
警「では、お手数ですが、身分を証明出来るものをお願いします」
聞きなれない単語に疑問は浮かびながらも警察官に免許証を渡し、出されたいくつかの質問に答えた。
警「ありがとうございます。こちらお返ししますね。」
黄「すみません、あの、佐久間の今後はどういう…」
警「明朝、引き続き聴取を行います。朝9時に、再度こちらに来てください 。それまでは、岩本さんが佐久間さんの監督をお願いします。」
黄「……わかりました。ご迷惑をおかけしてすみません。」
警「では、私たちはこれで。」
あまりにも事務的に話をして、警察官は一礼して去っていった。
佐久間がまだ疑われてる…
その苦しい現実に、拳を握りしめて耐えるしかなかった。
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作者名:舞雪 | 作成日時:2023年5月5日 0時