黒side ページ15
マネージャーからの連絡がなく、今、俺らを取り巻く環境がどんな状況なのかもわからない。
ラウールと康二とのビデオ会議が終わってからは、2人の苦しそうな顔に引き摺られるように、部屋の空気もさらに重たくなってしまった。
特に辛そうなのは阿部ちゃんとふっかさん。
2人ともずっと思い詰めた顔をしてたけど、ついに気持ちが不調となって顕になった。
緑「…ｯ……ﾊｯ…」
黄「あべ、深呼吸。吐く方意識して」
紫「…ﾌｩｯ…ｯ……ﾊｯ」
青「ふっか、ちょっと寝室行こうか」
呼吸のリズムを速める阿部ちゃんに釣られて呼吸を速めちゃうふっかさんを、しょっぴーと舘さんが支えて連れていった。
緑「……ｯ……ﾊｯ…ﾊｯ…ﾊｯ」
黄「阿部、フーって吐いてごらん」
緑「……ﾊｯさ、ｯま……ｯじょ……ﾊｯﾊｯ」
黄「今は自分のことに集中。何も考えなくて大丈夫。」
阿部ちゃんを真正面から抱きしめて、岩本くんが落ち着いて声をかけるけれど、なかなか治まらない。忙しなく上下する背中を、岩本くんの大きな手が何度も辿る。
あべちゃんは、苦しそうに何度も佐久間くんの名前を呼んだ。その度に岩本くんは、眉を下げて、声を震わせた。
そんな2人を俺はただ見ていることしかできなかった。「大丈夫だよ」その一言を掛けることができなかった…
そのうち、あべちゃんの体からフッと力が抜けた。
黄「……寝ちゃった。」
黒「ソファーに寝かせてあげよう。」
気絶するように眠ったあべちゃんの顔には幾つもの涙の跡。起こさないようにそっと拭って、ソファーにゆっくりと横たえた。
それから少しして、しょっぴーと舘さんが戻ってきた。聞くと、ふっかさんもあべちゃんと同じように寝てしまったって。
青「……佐久間、まだかな」
力ないしょっぴーの声にスマホを見れば、いつの間にか日付が変わっていた。
とっくに眠気に襲われてる時間のはずなのに、佐久間くんのこと、グループのこと、いろいろ考えてると全然眠たくなくて、眠れない夜ってこういう事なんだなって身をもって知った。
黄「マネージャーからまだ連絡来ない…」
青「……そっか」
会話のやりとりも直ぐに途切れてしまって、何をする訳でもなく、ただ連絡を待つだけ。
そんな夜も、あと僅かで終わりを告げようかと言う頃
《佐久間くん______》
マネージャーから待ちに待った報せが俺たちの元へ届いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：舞雪 | 作成日時：2023年5月5日 0時
