出会い似合い ページ5
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____「チョ、待て、オイ。
Aの仕業だろォ……助けろ」
『え、え?』
昨日の昼休憩、実弥に教えてもらった計算の公式がギッシリ詰まった、数学ノートを握りしめた
まま私は、なぜか朝から、実弥に追い詰められていた。
『助けろ、って…?』
「オマエなんだろ。俺に頼めば課題してくれるって、デマ、コイツに垂れ流したのはァ……」
実弥の目に、呆れと怒りが煮えていた。
『え、もしかして、それって……』
「ハヨ、A〜」
『あっ、天元くん!』
実弥の背後から現れた高い影は、やはり彼だった。
大人びた顔立ちに、無邪気な笑顔でヒラヒラと手を振っている。
『ん、イヤ……てか、私、" 実弥にきけば勉強教えてくれるよ " って言っただけで、課題してくれるなんて一言も……』
「……ハァ?」
天元くんに実弥の睨みが飛んだ。
「別にぃ、勉強教えてもらうのも、課題やってもらうのも一緒だろ」
「一緒なわけねエだろが!ア"ァ、朝から騒がしくさせやがってェ……」
まあ怖いはずの、実弥の睨みは気にも止めず、
むしろ「短気ぃ。ゴメンじゃん、」と天元くんは愚痴にカラ謝りだ。
「てかさあ、気になったんだけど。実弥はAと、ドウイウ関係なわけ?」
突然、天元くんが、私と実弥を交互に見ながら
訊いた。
「………普通に高校からのクラスメイトだけど。あと、実弥ってヤメロ、上で呼べ。」
「だって、俺、上の名前知らねえもん。」
「アァ、そうかよォ、不死川だ。」
ぶっかきらぼうな実弥の返しにも、ひるむどころか、手馴れたな雰囲気の天元くんが唯一の救いだ。
『あ、因みにね、私たち幼馴染みなの。小学校の。ホント偶然だよね!』
「………知ってるワ。コイツがさっき、自分名乗ってるとき、一緒に聞いた。」
『あれ、先知ってたの。せっかく、実弥、驚かせようと思ってたのに』
「そんなンじゃ、驚かねエよ。別に」
「___んなー、二人共。コレ、」
天元くんが、そう言って横から差し出したのは、彼のスマホ画面。
そして、その中の、メールアドレスだった。
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作者名:帯 | 作成日時:2023年10月15日 13時