危ない ページ4
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担任の、遅いぞ、という言葉に友人と雑な会釈を返して席に着く。
隣の実弥の呆れた視線を、軽く無視した。
「じゃ、HR始めるぞー」
HRのおしらせは、やはり天元くんのことだった。
どこから来た子だとか、仲良くしろよだとか。
どこの学校から転校してきたとか、詳細なことは教えてくれなかった。
ただ途中で女子が、" めちゃイケメン " と茶々入れて、クラスが一瞬、盛り上がったくらいだ。
___チャイムが鳴った。
___『ねえ、実弥ってドコ行ったか知ってる?』
「あー、さっき教室出てってたの見たよ?」
気づけば時計は1時を回り、昼休憩中。
私は実弥を探して、廊下に身を乗り出す。
『実弥ー?どこッ………』
「あッ、ぶなっ!!」
スパン!!と、頭上で打ち付ける音がしたかと思えば、横から誰かの慌てた声がした。
驚いて顔を上げる。
「ギリギリだったじゃねえか………ダイジョブか、A?」
そこにいたのは、手に野球ボールを握る、
天元くん。
『えっ…!?な、なに?!』
「イヤ、今、目の前から野球ボール、飛んできたかともったら、ソコにちょーどAが出てきたから………マジ、焦ったわ」
そう説明しながら天元くんは、" 二度とやんじゃねーぞ " と、ボールを飛んできた方に投げ返した。
ボールを受け取った相手は、何度も頭をさげながら、さっさと引っ込んでいった。
『……あっありがとう』
上がっていた心拍数が落ち着くのを感じる。
「イヤ、別に。たまたまだから………って、そいや、Aはどうかしたの?」
『え、あ!そうだ、実弥…』
「さねみ?」
本来の目的を思い出して、辺りを見渡す。
『そ、数学、意味わかんなくて…………
あ、そうだ!天元くんもさ、もし勉強、分かんなかったら、実弥にきけば良いよ!頭良んだよ』
「ほぉ?」
『……じゃ、ごめんね。私、実弥探さなきゃいけないから!』
そう言って手を振り、その場を去ると、
次の数学の授業までの、残り少ないタイムリミットで、急ぎ足に実弥の元へ駆けていった。
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作者名:帯 | 作成日時:2023年10月15日 13時