検索窓
今日:26 hit、昨日:0 hit、合計:84,067 hit

経理の栗山さん 10 ページ46

.



デート終盤、彼女の見たいスポットまで歩くと不意に彼女の足が止まった。



今にも泣きそうな顔をするからその目線を追いかけるとキスをするカップルが目に入る。




何かを堪えるような表情をするからもしかしてあの人が彼氏なんかな、と思った。





必死に泣きそうなのを隠す彼女の手を引いてあの人等から離れる。


せっかくいい雰囲気やったのに、あの元カレには敵わへんもん。


やり場の無い感情に拳を握り締めた。



どこに行こうか悩んだ挙句結局思い付いたのは水族館。

もしかしたら見たいって言ってた観覧車のライトアップも見れるかもしれんし。



一か八かで水族館へと行く。




「くらげ!」



いつもなら夢中になる魚になんか目もくれずじっとAだけを見つめる。



その笑顔、俺だけにずっと向けとってくれたらええのに。




こういうところは勝負強いのか、たまたまこの水族館からもあの観覧車のライトアップが見えて、Aも大満足。




そしてしばらくしたあと響くアナウンスを皮切りに2人の会話が途絶える。


ゆっくりと握っていた手を離した。



「…あ〜、もうこんな時間かぁ…明日も仕事あるんやろ?そろそろ帰らんとな。」

「…うん。あのね、サンタさん…今日1日ありがとう。」




ああ、なんて声掛けよ。

あちらこちら目線を移すと不思議そうな顔をしたAがいて、慌てて口を開く。


驚く姿も可愛ええなぁなんて思いながらもその手にクリスマスリースを落とした。

反応もせず固まる彼女の脳内が簡単に知れる。




そのまま何も告げずに駅まで送り届けようとすると強引に止められ、目の前にプレゼントが現れた。




大方彼氏に渡すものだったんだろうけど、それでも俺に渡してくれようとしてくれた事自体嬉しくて、思わず満面の笑みで受け取った。




駅の改札まで送り届けると最後にその小さな頭に手を乗せる。






「……クリスマスリースの意味に終わりのない永遠の神の愛ってのがあるらしいけど多分分からへんやろなぁ…」



そんな事をぼんやりと考えながら歩いたクリスマスの夜。



遠くにあったライトアップは少しずつ光を消し、いつもの景色へと変わっていった。




.

経理の栗山さん 11→←経理の栗山さん 09



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (154 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
334人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

水澪(プロフ) - ミサモさん» お褒めの言葉嬉しいです!重岡くんやっぱり男前ですよね…そういう風に読んで頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます〇 (2020年1月1日 12時) (レス) id: b0ff53cc5b (このIDを非表示/違反報告)
ミサモ - もう最高過ぎます!これから頑張ってください!!!!!!もうしげ、男前すぎやって(泣) (2019年12月31日 6時) (レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)
水澪(プロフ) - Win-Winさん» 初めまして!好きになって頂けて凄く嬉しいです…!重岡くん格好いいですよね(*´艸`) これからも頑張りますね! (2019年12月30日 16時) (レス) id: b0ff53cc5b (このIDを非表示/違反報告)
Win-Win - あ〜さらに重岡くん好きになっちゃたよ〜\(//∇//)\ (2019年12月30日 10時) (レス) id: e053c09d8e (このIDを非表示/違反報告)
水澪(プロフ) - ぱらぱらぱさん» こんにちは、初めまして!面白いと言って頂けて凄く嬉しいです…!早くお届け出来るよう頑張りますね◎ (2019年12月29日 15時) (レス) id: b0ff53cc5b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:水澪 | 作成日時:2019年12月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。