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片手を出せばその中に落とされるのはクリスマスリース。

何でクリスマスリース…?


そう思いながらも、小さいそれをじっと見ていると沈黙に耐え切れなかったのだろう、サンタさんは私の手を握って、そのまま水族館を出て、雑踏の中をすたすたと歩いていく。




「ちょ、ちょ、ストップストップ!!」

「魔法は解ける時間やで?駅まで送るわ。」

「私からも!プレゼントさせて!」



そう言うとサンタさんはきょとんとした表情をして、私の顔をじっと覗き込む。



カバンからごそごそと小さい箱を取り出して、サンタさんの方にずいっと押し出す。




「嫌じゃなかったら、その。受け取って欲しい。

礼儀知らずなのは分かってるけど…私もサンタさんに…お礼、したくて。」

「いや、全ッ然ええよ。欲しい。ちょーだい!」



最後にとびきりのくしゃくしゃな笑顔を見せたサンタさんは、箱を受け取って嬉しそうに、噛み締めたように、大事そうにカバンの中にしまう。


そして、何も言わないまま駅へと向かっていく。




喋らないけれどもその心地良さに目を細めながら、現実へ引き戻す改札口が近づいてくる。



「それ、ちゃんと大事にしてや?

それじゃないと来年はブラックサンタの重岡くんがやって来ちゃうで?」

「うん。」

「…じゃ、もう泣くんやないぞ。」




ぽんと頭に乗った感覚がまるで電撃のようにびりりと痺れる。



ああ、私この人の事本当に好きになっちゃったんだなぁ。



クリスマスの夜に運命的な出会い。

それは本当に運命なのか必然なのか。



けれども、それを告げる勇気は私には無い。



これは夢、今日この日だけが普通の重岡くんがサンタの重岡くんになる日。





それを思うと電車に乗りながらも涙が溢れた。





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水澪(プロフ) - ミサモさん» お褒めの言葉嬉しいです!重岡くんやっぱり男前ですよね…そういう風に読んで頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます〇 (2020年1月1日 12時) (レス) id: b0ff53cc5b (このIDを非表示/違反報告)
ミサモ - もう最高過ぎます!これから頑張ってください!!!!!!もうしげ、男前すぎやって(泣) (2019年12月31日 6時) (レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)
水澪(プロフ) - Win-Winさん» 初めまして!好きになって頂けて凄く嬉しいです…!重岡くん格好いいですよね(*´艸`) これからも頑張りますね! (2019年12月30日 16時) (レス) id: b0ff53cc5b (このIDを非表示/違反報告)
Win-Win - あ〜さらに重岡くん好きになっちゃたよ〜\(//∇//)\ (2019年12月30日 10時) (レス) id: e053c09d8e (このIDを非表示/違反報告)
水澪(プロフ) - ぱらぱらぱさん» こんにちは、初めまして!面白いと言って頂けて凄く嬉しいです…!早くお届け出来るよう頑張りますね◎ (2019年12月29日 15時) (レス) id: b0ff53cc5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水澪 | 作成日時:2019年12月25日 23時

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