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『ふぅ…』
お母さんから貰ったミサンガを手首に付け、自分の順番を待つ
背中からは、ダンス用の音楽やボーカル用の音楽が聞こえてくる
一樹は上手くやってるかな
もしかしたら好成績を残しているかもしれない
それに比べて俺は緊張しまくってて…
徐々にマイナスな思考が頭を埋め尽くしていく
こんな時に思い出すのは先輩の声
俺が緊張してる時、いつも気付いて声をかけてくれてた
もちろん昨日も
__________
「A」
『どうしました?』
「オーディションで、もしダメだって思ったら、俺と踊ってる時のこと考えろ」
「そんで、ただひたすら楽しめ」
「わかった?」
『はい!』
__________
「番号325の方準備お願いします!」
スタッフさんから声がかかり、席を立つ
深呼吸をして一歩踏み出すと、不思議と震えは収まった
『うん、大丈夫…!』
「こちらです」
目の前に座って、俺をジッと見るのはテレビで見ていた憧れの人達
ゆっくり自分のペースで指定された位置に立つ
『325番の真田Aです』
『よろしくお願いしますっ!!』
自己紹介を終えると、ダンス用の曲がかかる
色んな音が聴覚を通して伝えられてくる
シューズが擦れる音、曲のカウント、自分の心臓音
ダメだ落ち着け、曲のカウントだけを聞いて…
(落ちつけって…!)
先程収まった震えが戻ってきた
頭の中がグチャグチャで、視界はグルグル揺れている
こんなんじゃ踊れない
そこで頭に流れてきたのは本番直前に言われた言葉
_________
「本番は絶対緊張する」
「だからこそ周りの音が大きく聞こえて、ダンスの邪魔に感じると思う」
「けどそれじゃダメだ」
「だって、思ったように実力が出せないで終わるからね」
『そういう時、どうすればいい?』
「耳に入ってくる音を全部自分の味方にすればいいんだ」
『全部…味方に?』
「うん!」
「そしたら、Aは会場の中で…」
「最強になれるから」
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耳に入ってくる音を、全部自分の味方に_______
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作者名:ふーか | 作成日時:2023年2月10日 21時