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一番乗りした控え室で本を読んでたら、勢いよくドアが開いて、聞き慣れた元気な声が飛び込んできた。

「阿部ちゃんっ!」

「佐久間。おはよ」

「ねぇ、何、あれっ!?」

なんだか、焦ってる?

俺のすぐ目の前までやってきた佐久間が聞く。

「あれ?」

「昨日更新された動画!」

「ああ、」

3人ずつ撮ったショートのダンス動画のこと?

もしかしていつもの逮捕なのかな、とも思ったけど、それにしては佐久間に余裕がなさすぎる。

「サングラス!」

「うん、サングラスだね」

「だ、誰の?」

「誰のって、俺のだよ。え、みんな私服でしょ?」

「そっかぁあああああ」

大きく息を吐いて座り込む佐久間。

「どういうこと?」

座り込んだまま、ちょっと恨めしそうな顔で見上げる佐久間が話し出す。

人差し指をぴっと立てて、

「…いち。 阿部ちゃんが俺がMVで掛けてたやつしてるのかと思って心臓飛び出そうになった」

「違ったねぇ」

中指も追加して、

「に。 …や、でも、レンズの色が濃いぞ? 嘘だろ、ふっかのしてんの? なんでだよ、ふっかずるい! って泣きそうになった」

「いやいや、ふっかが巻き込まれ事故になってる」

薬指も足して3本目。

「さん。 待って待って、フレームの色違うじゃん。えっ、じゃあ誰の掛けてんの? 誰からのマウント? ってパニックパニック」

「あははっ、佐久間、思考が飛びすぎ」

「だって…っ」

そんな泣きそうな顔しないでよ。

「俺のためにマウント取りに行くの、佐久間くらいだからね」

「そんなことない!」

食い気味に佐久間が抗議する。

「んん?」

「だって、先輩も、後輩たちも、クイズ番組とかドラマの共演者さんとか、みーんな! …阿部ちゃんと話したり笑いかけられたりしたら、すぐ好きになっちゃう…絶対独り占めしたくなっちゃうもん…」

しょんぼりして語尾が小さくなっていく。

「買い被りだなぁ、もう。

 …みんな良くしてくれるけど、俺が帰ってくる場所は佐久間のところなんだけどな」

「へ?」

「…俺のこといっぱい考えてくれてて嬉しかったの。

 はい、この話はおしまい!」

しょんぼりした佐久間が気になって、つい余計なことまで言ってしまった。

ああもう、体温上がってきた…。

「ええっ、待って、今絶対めっちゃ可愛い顔してるじゃん! 後ろ向かないでよ!」

なんで急に強気なんだよ…!

佐久間から逃げ出すべく椅子を立った。

 - +02 : ab→← (あとがき)



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すず(プロフ) - みなさん» コメントありがとうございます!初めて頂いたコメントに嬉しい言葉がたくさん並んでいて、どきどきしています…。また覗いてくださると嬉しいです^^ (2022年10月10日 8時) (レス) id: 042e012db9 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - いきなりコメント失礼します。いつもキュンキュンしながら読ませていただいています。完結おめでとうございます。すずさんの作品大好きです。 (2022年10月9日 16時) (レス) @page48 id: 2fd29c3102 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すず | 作成日時:2022年9月4日 11時

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