花に落ちる雪の雫は美しく響る (ページ12)

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5．兄弟ページ12

兄弟とは、
同じ母、または同じ種からできた傍系2親等、または戸籍上同じ親を持つ人物。
または、”強い結びつきを持っている人・者同士”を指す

Grandeurのなかにも兄弟と呼ばれる人物いる

それが天龍寮長の岩本照と月光寮監督生の向井康二だ。

時は10年前、

登った日が落ち始めたころ

若い女に手を引かれ男の子はやってきた

ずっと下を向き、今にも泣きそうな顔をして。

若い女もまた泣きそうな顔をして、

「ごめんね、愛しているわ」

そういって男の子を抱きしめた

男の子は、溜まっていた涙をぐっとこらえ

「大丈夫やで！お母ちゃん、元気でな！」

と、生まれてから今までで一番の笑顔で応えた

そして、若い女の震える女の背中が見えなくなるまで笑顔で手を振り続けた。

その様子をヒカルは影からみていた

ヒカルは、笑顔の男の子が我慢しているということに気づいていた

落ちかけていた日が落ちきるまで、

男の子は女が去って行ったほうをじっとみつめていた

ヒカルはその子に声をかけようと近づくと、

「お母ちゃんな、すっごく優しいねん。魔法でこのセーター編んでくれたんよ！お父ちゃんはなお空飛ぶのが上手でな、たまに僕を抱いて乗せてくれたんよ！」

女が去って行ったほうを見つめながら、笑顔で話し出す

「でもな、お父ちゃんな、悪い魔法使いと戦って死んじゃってん。お母ちゃんはな、お父ちゃん殺した悪い魔法使いから僕を守るためにここへ来たんよ。だから、悪い魔法使い居なくなったらお母ちゃん、また迎えに来てくれるねん。それまで僕、いい子で待ってるねん。でな、迎えに来てくれた時にお母ちゃん守れるくらい強い魔法使いなるねん。そしたら、そしたら、お母ちゃん……」

堪えきれなくなった男の子は泣き崩れた

ヒカルはその男の子をそっと抱き寄せて、背中を優しく摩る

「本当は、本当は、お母ちゃんとおりたい！！お母ちゃんと、お父ちゃんと、ずっとずっと一緒におりたいよぉ！！！」

すっかり暗くなった空に男の子の泣き声だけが響く

ヒカルは男の子が落ち着くまで背中をさすり続けた

「ごめんな、服、汚してしもた…」

しばらくして、男の子はぐしゃぐしゃの顔をあげヒカルに言った

ヒカル「大丈夫。ままが洗ってくれるから」

「まま、おるん？」

ヒカル「俺のままは、お前のぱぱと一緒。悪い魔法使いに殺された。だけど、ここのままはみんなのままだから、本当のままみたいに優しくしてくれる」

「でも、僕、お母ちゃん…」