＊ ページ6
「……しょっぴー……」
康二は完全に怒ってる。顔がマジだ。
「康二、今はそれどころじゃない！ 患者の命がかかってんだぞ！」
「……」
流星くんが一喝して声を荒げる。みんな、怒りたい気持ちは一緒だ。救急病棟でドクターコールなんて、看護師が対応できなかったと見なされる。俺たちは先生に提案も進言もした。それなのに、何もできなかったと他の部署に思われるのは……俺たちのプライドが許さなかった。俺たちは救急のスペシャリストとして、ここで働いているのだから。
でも、起こってしまったことは仕方ない。今は患者さんが最優先だ。
「しょっぴー」
しょっぴーの後ろから、背の高くてガタイのいい男の人が現れた。
「あ、岩本先生！」
「照兄！」
「どうした、さっきドクターコールとか言ってたけど……」
岩本先生がモニターを確認すると、険しい表情になった。
「この人、何の患者さん？」
「交通外傷で来てる人です」
「……どこを骨折してるの？」
「右の上下肢です」
「……」
岩本先生はしょっぴーを振り返った。
「……他に骨折箇所はなかった？ 骨盤とか」
「骨盤……？」
思いもよらなかった言葉に驚く。でも、納得はできる。
ショック状態というのは普通は大量出血で血管内に血が足りなくなって、心臓や体に十分な血液が送られなくなることで引き起こされる。骨折で来た人がショック状態になることは稀だ。あるとしたら、血液が多く含まれる骨盤が骨折している場合……。
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あずぴ(プロフ) - 初めまして。とても面白くて一気に読んでしまいました。文も凄く読みやすくて尊敬致します。これからも続き楽しみにしています。 (2021年8月26日 15時) (
レス) id: 7890b9a918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなみ | 作成日時：2021年4月7日 19時
