Maybe.Ⅲ (ページ12)

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「本当に、ありがとうございました！」

　康二は俺たちに深く頭を下げた。

「いやいや。康二こそ、入院とってくれてありがとう。大変だったね、お疲れ様」

　流星くんが康二の頭を撫でながら言う。

「ううっ……流星、ありがとう」

　康二は流星くんに抱き着いて泣いている。
　康二と流星くんは同い年だ。康二は大学卒の看護師で、流星くんは専門卒の看護師。流星くんの方が看護師歴は1年先輩だけど、実質タメ。それに、2人とも大阪から上京して来た者同士だから、すぐに仲良くなっていた。

「康二、ごめん。俺がしょっぴーと康二の……状況的な相性が最悪なのに組ませちゃったのが悪かった……」

「いいんや。慎太郎が悪いわけやないし」

　康二は泣いた顔でニッと笑った。

「でも、もうしょっぴーの患者さんは受け持ちたくないな」

「そうだね。康二はしょっぴーと組むの禁止にしよう」

　その意見は全員一致で決まった。
　ちなみに、あの後は最初に駆け付けてくれていわふかペアの処置のおかげで、患者さんの血圧も脈も安定した。その後、しょっぴーがICから帰って来て、家族も手術に了承してくれたことから、オペに行くことになった。ただ、しょっぴーは執刀医ではなく、補助の先生となり……執刀医は整形外科医で、しょっぴーの先輩医師の千賀先生に代わった。今はオペ室に患者さんを出して、一先ず俺たちがやれることは終わった。あとは、オペが無事に終わることを祈るだけだ。
　
　