* ページ49
救急外来の看護師がストレッチャーで患者を部屋まで運ぶ。俺はストレッチャーに近寄って、運ぶのを手伝う。
「ちょっと隣のベッドに移るんですけど……移れそうですか?」
ストレッチャーを病室のベッドに近付けながら、患者さんに尋ねる。
「……ゆっくりなら……」
患者さんは顔を歪めて嫌そうにしている。そりゃそうだよね……痛いもん。だけど、仕方ない。ベッドには移ってもらわないと困る。
「ゆっくり横向きますね。あ、ちゃか! 足、お願いできる? 折れてるから気を付けて」
「はい!」
入院を手伝いに入ってくれたちゃかと共に、患者を横に向けてストレッチャーからベッドに移る時に使うスライダーのような板に患者さんを乗せる。
「隣に移りますね。まず、真ん中まで移動します」
「はい」
「せーの」
掛け声に合わせて、力を合わせて途中まで移動する。
患者さんは痛そうに顔をしかめている。
「大丈夫ですか?」
「大……丈夫……です」
だいぶ痛そうだけど……患者さんは気を遣って、大丈夫と言ってくれる。
「今度はベッドまで行きます。せーの」
タイミングを合わせ、なるべく振動がないように患者さんをベッドまで移した。
救急外来の看護師さんと康二は外に出て、患者さんには聞こえないように申し送りを始める。その間、残りの看護師は病院専用の病衣に着替えたり、バイタルサインを測定したりしていく。
272人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かなみ | 作成日時:2021年2月7日 21時