Maybe .II (ページ48)

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「……とりあえず、入院呼ぶね」

　その言葉を言うのがやっとだった。ごめんな、康二。
　俺はピッチに救急外来の番号を入力して電話を繋げた。

『はい、救急外来の木村です』

「もしもし、救急病棟の森本です。救急病棟に入院予定の増田さん、増田貴久さん。準備ができたので、上に上げていただきたいです」

『分かりました。今から行きます』

「お願いします」

　相手が電話を切ったことを確認して、電話を切る。

「入院上がって来ます！」

「はーい！」

　病棟の看護師たちが返事を返してくれる。

「すぐ上がって来るん？」

「今から来るって言われたので、多分そうだと思います」

「分かった」

　流星くんが手袋とエプロンを着けて待機する。俺も同じように防護具を着ける。康二は部屋の前で、カルテを操作しながら患者を待っている。
　嵐の前の静けさ。俺はこの瞬間が、仕事の中で1番嫌いだ。

「お、来たな」

　康二が病棟の入り口を見て呟くと同時に、病棟の入り口が音を鳴らして開いた。入院が来たということを病棟の看護師に知らせるためのチャイムだ。

「ERです。増田貴久さんです」

「ありがとうございます。3号室です」

「はい」
　
　