Maybe .II (ページ46)

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「おう、慎太郎！」

　病棟の入り口から名前を呼ばれる。振り返ると、研修医を引き連れたしょっぴーがこちらに向かって来ていた。

「……渡辺先生」

　噂をすれば何とやら……よくこんな時に、呑気にここに来れたな……と言うか、先生がいなくて救急外来は困ってるんじゃないの？大丈夫？

「もう呼べそう？」

「……今、康二たちが準備してるので、もう少し待ってもらってもいいですか？もうすぐだと思うんで」

「分かった」

　しょっぴーは後ろを振り向いて、研修医を見た。随分、背の高い研修医だな……顔もモデルみたいに整ってる……。

「もう少しで準備できるらしいから、そしたら整形外科用のベッドに移って痛みの程度を見ていく。どこまで動かせるかとか、ね」

「なるほど」

　研修医は頷きながら、しょっぴーの話を聞いている。

「その後に、家族にも部屋に入ってもらってオペの説明をしていく。大きい骨が折れてるし、オペしないとくっつかないと思うから。あと、本人は痛いままだしね」

「……」

　え？ちょっと待ってよ。普通はさ、どこまで動かせるかとかは救急外来で確認するんじゃないの？どうして、わざわざうちで見るのよ。しかも、その口ぶりだと……まだ患者に会ってないな……会いに行けよ……準備してる間にできるじゃん……暇にしてるんじゃないよ……しかも、大きい骨が折れてるからって理由だけでオペすんなよ……ちゃんとレントゲン見ろよ……。
　
　